1992年春、「青春18きっぷ」で名松線の旅をする。

名松線(松阪-伊勢奥津間)は行き止まりローカル線だ。

もともと松阪と名張、さらには奈良県の桜井を結ぶことを目的に建設されたことから、「名松線」という路線名が付けられた。しかし、関西急行電鉄が大阪-伊勢間の路線(=近鉄大阪線)を開通させ、さっそく高速運転を始めたことから、国鉄名松線の名張延伸は実現せず、奈良県境手前の伊勢奥津(津市美杉町)で行き止まりとなった。

未成線区間の伊勢奥津-名張間は三重交通バスで結ばれてきたが、年々本数は減らされ、現在同区間のバスは1日1往復のみだ。

さて、名松線に乗ったのは1992年春の1度きりだった。
伊勢奥津駅で確か、名張行きのバスを2~3時間近く待った。
学生時代の当時、山の中の小駅で長時間待つのは、正直退屈以外のなにものでもなかった。
さらに、この日は天気もあまり良くなく、夕方から雨が降り出した。

しかし、今だったら、むしろ無人駅で途中下車して、1時間ほど景色を眺めたり周りをぶらりと散策するのも楽しいと思う。


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伊勢奥津駅前(2015年、バイクで訪問)


2015年秋、バイクで伊勢奥津駅前を訪れたときは、名松線は不通だったが、
駅舎は綺麗に改装され豪華になって観光センターを併設、観光客で賑わっていた。
ただし、駅構内の線路は棒線化され、往時に比べて寂しくなったようにも思う。

せっかくなので、SL時代の面影が残っていた当時の伊勢奥津駅構内をもっと味わっておけばよかった。

伊勢奥津駅前からのバスは、概ね名張川の流れに沿って国道368号線を走行し、一旦奈良県(御杖村)を掠りながら、名張市に踏み入れる。名張川はこの先、奈良県の月ヶ瀬村を経て京都府南山城村で木津川に合流する。伊賀盆地を源流とする木津川は八幡市付近で宇治川・桂川と合流して淀川となり、大阪湾に注ぐ。意外にも名張川は淀川水系であり、三重県の伊賀地方は関西圏だ。

名張駅前に到着後、近鉄電車の区間快速で桜井までワープし、桜井線に乗り換えて帰路につく。