近鉄バスの気になる過去路線について一つレポートする。

枚岡線【60】【61】番。

上本町六丁目と東大阪市(旧・枚岡市)枚岡・石切地区を、近鉄奈良線に並行する形で以下の経路で運行:

上本町六丁目(バスターミナル)~鶴橋~新深江~長栄寺(布施営業所前)~新家~菱江~花園ラグビー場前~枚岡~新石切駅前~石切神社前(【61】番は枚岡止め)


戦前に布施駅~枚岡間にて開設され、近鉄バス(近畿日本鉄道自動車部)の歴史を語る上で重要な路線系統だ。戦後、大阪市内への乗り入れが実現し、上本町六丁目、さらに本町四丁目へ延長。1984年に上本町バスセンターができてからは、そこを起終点とする。上本町バスセンターは現在、大阪空港行きリムジンバス乗り場となっている。

石切神社に参拝する利用客も多く、正月には増便も行われるほどの盛況だったそうだ。花園ラグビー場への利用客も多かったことだろう。1960年代には2階建てバス「ビスタコーチ」も導入され(→近鉄特急「ビスタカー」のバス版)、さらにノンステップバスも活躍するなど、先進的サービスが導入された路線でもある。

しかし、道路渋滞や近鉄奈良線と完全並行していることなどの事情により利用客が減少。ただし、近鉄奈良線と少し離れて並行するけいはんな線(旧・東大阪線)新石切界隈から布施・上本町方面へは便利だっただろう。1990年代前半にはえげつないほどの大幅減便を実施、1997年に休止、2000年に廃止になった。

枚岡線廃止から6年後の2006年、石切線【70】系統・<新石切駅前~石切駅前>が新設される。かつての枚岡線の末端区間を復活させたような形だが、狭隘路を通るため小型車で運用。短距離ではあるものの急な坂道があり、なおかつ住宅地も多いことから旅客需要はあって、毎時2~3本程度運行されてきた。しかし、運転士不足を理由に2016年6月1日より土曜日のみ1往復のみの免許維持路線となった。