1989年夏、「青春18きっぷ」で少し無理して徳島までの日帰り旅行に出た。
私が初めて四国に踏み入れたのもこのときで、瀬戸大橋開通から1年経過したばかり。
第一の目的は、高徳線と徳島線を完乗すること。

乗車行程は、

大阪→姫路→岡山→高松→徳島→阿波池田→琴平→坂出→岡山→姫路→大阪

だが、実は四国内の一部区間にて特急列車でワープする。

確か早朝6時ごろだったかな、大阪発網干行き快速電車に乗った。
姫路までおよそ1時間30分、岡山行きの電車にすぐの接続だった。
姫路での乗り換えダッシュのとき、災難に遭う。
人にぶつかってホームで転倒する。
幸い腕のケガ程度で済み、何とか岡山行きに乗り込む。
ただ、夏場で半袖を着ているゆえ、腕の傷が目立ち、傷が露出したままの無様な格好で旅を続けることになる。
それはともかく、無事に乗り継ぎできたのだから良しとする。
しかし、このハードスケジュールゆえに起こったアクシデントであり、もう少し余裕のあるプランを練るほうがよいだろうと反省。何しろ岡山行きの列車編成が短いので、そのことを考慮に入れて行動すべきだった(熱海・大垣・敦賀での乗り継ぎも同様)。

岡山から「マリンライナー」で瀬戸大橋を渡って、初めての四国入りにワクワク。
瀬戸大橋および明石・鳴門海峡大橋の開通で、関西から四国への日帰り旅行も容易になった。
讃岐うどんのブームが全国に広まったのも、本州・四国連絡橋の恩恵だろう。

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高松からの高徳線(旧・高徳本線)だが、香川・徳島県境付近(三本松-阿波川端あたり)で特急ワープを使う。
高松・徳島間の距離は70kmほどでさほど遠いわけではないが、県境を跨いで直通する普通列車は多くなく、途中で特急を待避するため所要時間はかなりかかる。
池谷で鳴門線、佐古で徳島線と合流し、徳島に到着。

徳島県の鉄道は電化率ゼロだ。
もともと四国内の国鉄線は全て非電化だった。JR化後、四国内の電化区間は瀬戸内海側の予讃線を中心に愛媛県まで拡大する。愛媛県には伊予鉄道もある。高知県もJR線は非電化だが路面電車の土佐電鉄がある。
しかし、徳島県に至っては地方私鉄もなく、非電化のJR線および第三セクター線のみで県内鉄道ネットワークを構築しているわけだ。

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徳島で駅弁を購入。
確か幕の内弁当を買ったと思うが、徳島の幕の内といえば、大きいエビフライがご飯の部分にまではみ出してデーンと目立つことで有名だろう。

徳島県の特産品には、すだち、半田そうめん、鳴門金時いも、阿波和三盆(砂糖菓子)などがある。

徳島線はキハ58・65の快速だったかと思う。
徳島線は吉野川に沿って四国山地に分け入り、土讃線の阿波池田に至る(正式には一つ手前の佃まで)。
国鉄時代は「徳島本線」が正式名称だった(JR発足後、四国内の本線は全て「本線」でなくなる)。
徳島市の南東、小松島港に和歌山からの南海フェリーが発着していて、徳島線と合わせて関西から四国各地の一つの主要ルートを形成、かつて徳島線経由高知方面の優等列車が盛んに設定されていた(小松島港線は廃止)。しかし、瀬戸大橋や明石・鳴門海峡大橋の開通と高速道路延伸の影響で、徳島線経由の優等列車は大幅に減らされ、事実上県内ローカル線となる。一時期は急行「よしの川」1往復のみとなるが、現在徳島線内のみのミニ特急「剣山」が6往復設定され、優等列車の本数そのものは盛り返している。

阿波池田からの土讃線上りでは、琴平まで再び特急ワープを使う。
香川・徳島県境付近にあたり、やはり普通列車の本数は少ない。
しかも急峻な峠を通るため、スイッチバックがあり(坪尻駅)、鉄道ファンの一つの見所だ。
視界が開け、讃岐平野に入ったあたり、琴平からは高松近郊の電化区間だ。
土讃線を走る電車は琴平折り返しの普通列車のみだが、最近東京からの寝台電車・サンライズ瀬戸(285系)が臨時で琴平まで乗り入れる日もある。

坂出から先、行きと同じルートで本州へ戻る。
できれば、違う経路で帰りたいところで、例えば高松や徳島から高速バスで鳴門海峡を渡って神戸・大阪方面へ抜けるのは、瀬戸大橋を回り岡山で乗り継ぐよりもはるかに早いだろう。
あるいは徳島からフェリーで和歌山へ抜けるのも所要時間はかかるが楽しそうだ。