今ふと気づいたんだが、兵庫県但馬地方(豊岡、城崎ほか)と京阪神を直通する列車は、同じ県内の神戸市よりも、大阪市および京都市発着列車のほうが多い。

豊岡・城崎温泉からは大阪・新大阪へ福知山線経由の特急<こうのとり>、京都へは山陰本線経由<きのさき>がそれぞれ発着している。<こうのとり>は7往復、<きのさき>は4往復で、287・289系電車で運転されている。

神戸市(神戸、三ノ宮)へは、<はまかぜ>が播但線経由大阪行きが1日3往復発着している。播但線の一部は非電化のためキハ189系使用だが、気動車の利点を生かし山陰本線城崎温泉以西の非電化区間へ進んで香住・浜坂そして鳥取まで乗り入れる。

すなわち、大阪へは福知山線経由と播但線経由の2ルートが存在、播但線経由のほうが距離が長い。ただし、和田山以西~大阪間を乗り通すとき、特急券の料金は距離の短い福知山線経由で計算することになっている。

福知山線経由<こうのとり>のほうが早いのに播但線経由の<はまかぜ>が存在する理由は、姫路や神戸への利便性確保のためで、兵庫県内優等列車としての使命を担っている。実際、<はまかぜ>は大阪駅発着の時点では空気輸送のことが多く、三ノ宮・神戸から客の出入りが見られる。<はまかぜ>の新大阪発着は無く、代わりに<こうのとり>が全て新大阪まで乗り入れている。

<はまかぜ>の魅力の一つは車窓から海の景色を楽しめることだろう。JR神戸線須磨-明石間付近で明石海峡と淡路島、城崎温泉以西の山陰本線では山陰海岸(日本海)の絶景が堪能できる。

福知山線経由の<こうのとり>も、実は少しだけ神戸市を掠る(道場駅付近)が、神戸市街地とは遠く離れた山あいのところにある。神戸市内へは三田で神戸電鉄、宝塚で阪急今津線・神戸線、もしくは尼崎でJR神戸線に乗り換える必要がある。尼崎は昔、基本的に各駅停車しか止まらなかったが、JR東西線開通後、新快速や<こうのとり>なども停車し、各方面への乗り換えの利便を図っている(<はまかぜ>は尼崎通過)。

このほか、豊岡-京都間には宮津線(京都丹後鉄道)経由の特急列車(豊岡-久美浜間各駅停車)も2往復運転されている。宮津線経由だと大半の区間が京都府内であり、丹後地域~京都市内を直通する役目を担っている。