前からずっと気になっていましたが、近畿(関西)の政治勢力について、京都・滋賀~大阪北部~兵庫阪神地区は左派・リベラル系、大阪南部(大和川以南)・奈良・和歌山は保守系が強いという構図が見られます。

まず、京都は昔から共産党が日本一強い地域で、かつて7期28年間(1950-78年)も故・蜷川虎三が知事を務め、共産党与党の京都府政が続きました。現在、京都で共産党が特に強い地域は、左京・北・右京区と乙訓(向日・長岡京・大山崎)ぐらいで、八幡・城陽市以南の南山城、および亀岡市以北の地域はあまり強くはないようです。亀岡・南丹市など口丹波地域(京都4区)は自民党の実力政治家・野中広務、中丹・丹後地域(同5区)は福知山を拠点とする谷垣氏が強いところです。南山城の京都6区は、民主党系の候補が連続当選していましたが、今回希望の党から立候補し、自民党の若手に競り負けました。京都南部は意外に民主党(民進党)が強い地域です。2区(左京・東山・山科区)はあの前原氏が強いですからね。

近畿の水がめ・琵琶湖を抱え、また原発銀座の若狭湾に隣接していて環境問題への意識が非常に高いと言われる滋賀県は、近畿で唯一非自民・非維新系の知事で、2006年の嘉田由紀子初当選はサプライズでした。2006年知事選では、草津線と交差する場所に新幹線新駅が一大争点となりましたね。嘉田氏が2期8年間務めたあと、同じ民主党系の三日月氏が当選。滋賀県は東海地方と北陸地方に隣接しており、東海地方は民主党が強い反面、北陸地方は自民党が圧倒的に強い地域です。

大阪はかつては京都・蜷川知事の影響も相当に受け、共産党・社会党の支援する黒田了一氏が2期8年間(1971-79年)知事を務めていました。全国人口の4割(主に大都市圏)が「革新自治体」と言われた時期でもあり、新幹線の止まる駅はほぼ革新自治体でした。しかし、1970年代末より革新自治体は徐々に後退、その後は自民党(オール与党)、そして橋下徹以降の「大阪維新」へと続き、とりわけ大阪では左派リベラル系は苦戦を強いられています。ただ、大阪はもともと反権力、自民党が全国で一番弱い地域で、基本的に野党系が強いところ。横山ノック氏や西川きよし氏のような無所属タレントの知事や国会議員を輩出し話題を呼んできたのも、大阪独自の「お笑い」文化に支えられてのことでしょう。橋下徹知事および市長が誕生したのも、一面ではもちろんその延長線上だとは思われます。自民党の補完勢力で右翼的とされる大阪維新の支持者も、元は共産・社民・民主系支持だった人たちも多いようです。

大阪は北部へ行くほど左派リベラル系が強いと見えます。特に高槻市を含む大阪10区は、旧・社民党系の辻元清美氏が強く、今回も立憲民主党で当選。高槻市は大阪北摂の主要都市でありながら京都の影響力が強く、独特の風土があり、共産党の大阪府会議員もいる数少ない地域です。辻元氏は兵庫阪神地域を拠点とする憲法学者、故・土井たか子氏の後継者とも見られ、コープこうべ(旧・大阪北生協も統合)の影響力もバックにあると言われています(というか、コープこうべが全国で一番規模の大きい生協なのは、神戸・阪神地域のリベラルな市民に支えられてのものだろう)。

淀川対岸の大阪11区(枚方・交野)も伝統的に社会党→民主党の強い地域ですが、10区とはかなり事情が異なり、パナソニック城下町であることがかなり大きいです。今回も平野博文氏が無所属で当選。枚方・交野地域は、大阪市内や京都南部と比べて残念ながら共産党はあまり強くはないようです。

なお、大阪市内では共産党の強い行政区(西淀川・福島・此花・大正区など)も結構あります。福島区出身の清水ただし氏は元・漫才師のユーモアな方で、「お笑いの大阪」に見事マッチ、従来の共産党のイメージを打ち破る期待の存在です。

兵庫県の阪神地域は、憲法学者・土井たか子氏で有名であり、リベラルなインテリ層が多いと言われるところ。宝塚市長もリベラル系であり、また公明党の牙城で工場地域の尼崎の市長も野党系若手が当選したこともあります。尼崎(兵庫8区)といえば、2009年衆院選で田中康夫(元・長野県知事)が公明党に殴り込みをかけて当選したことも特筆すべきでしょう。今回、8区には共産党の堀内照文氏が立候補したが、残念ながら及ばずでした。

兵庫県南西部の西播地域でも共産党首長の町が複数存在した時期があります。特にひまわり畑で有名な旧・南光町(→佐用町)で共産党員町長が1980年から25年余り続いたことは有名です。

大阪南部の政令都市・堺は自治都市の伝統を受け継いで、都構想に反対する非維新系の竹山氏が3期連続市長を続けています(初当選の時は橋下徹氏の支持があったが)。ただ、左派リベラルと言うよりは保守色が強く、それゆえに「住民目線で大切なものを守る」を貫いておられ、共産党の応援・協力があっても全然不思議ではなく、良い意味での保守政治家だと言えます。保守系の強いイメージのある泉州地域も、岸和田や貝塚では共産党与党の市政が20~30年続いたかと思います。

奈良・和歌山は基本的に自民党の強い「保守王国」。奈良は高市氏、和歌山は二階氏が有名。しかし、奈良県生駒市からは民主党系の若手、中村てつじ氏が何度か国政選挙に当選、2014年には小政党の「生活の党」から奈良2区に立候補、高市氏に善戦しています。その後、佐賀県に国替えしました。現在の生駒市長も非・自民系だったかと思います。