気がついたら、広島県は在来線優等列車(特急・急行)ゼロの県になっています。

まず、広島県の大動脈といえば山陽本線ですが、山陽筋の優等列車は山陽新幹線が担っているため、岡山県倉敷以西の優等列車はゼロ。10年ほど前まで東京・京阪神と九州方面を結ぶ寝台特急(ブルートレイン)があったが、2009年の<さくら><富士>を最後に消滅。現在、山陽本線を全線通しで運転する定期旅客列車は1本もありません。

山陽本線のバイパス線で瀬戸内海に沿う呉線では、軍事・造船における重要拠点・呉港を抱えていることもあって、歴史的に山陽筋の優等列車の一部は呉線経由で運転されたこともあります。

広島市と県北・中国山地中央部の三次・庄原方面を結ぶ芸備線では、かつて備後落合から分岐する木次線などと合わせて陰陽連絡の急行列車が運転されていました。その代表は<ちどり>で、かつては夜行便も運転されるほどの盛況ぶりだったようですが、道路整備が進み路線バスや高速バスに多くの客を奪われ、凋落の一途。最終的には広島-三次間という短距離の<みよし>が4往復、最後のキハ58系定期運転の急行列車として注目を集めたが、これも2007年に全廃。

三次と浜田を江の川に沿って結んでいた三江線(廃止)でも、陰陽連絡急行列車があっても良さそうに思えるが、全通が1975年と遅く、その当時は既に急行列車減少時代に入っていたこともあり、定期の優等列車が運転されることはありませんでした。ただし、臨時で広島発着三次までは芸備線の定期急行列車に連結、三江線内は快速または普通という列車が運転されたことはあります(したがって三江線内での急行運転の実績はゼロ)。

また、福山と塩町・三次を結ぶ福塩線で過去に優等列車が運転された事実は知りません。