221系が阪和線で活躍していた時期は意外に短命でした。

1989年のデビュー当時より、大和路快速等で使用される221系(奈良電車区所属)が、時折臨時やイベントで阪和線、そして紀勢本線に姿を現すことはありました。日根野電車区で撮影イベントがあるときには、特に223系や281系<はるが>が登場する前は、国鉄型車両(103・113・165・381系)ばかりだったこともあって、221系はスターのゲストとして迎え入れられたことでしょう。また、京都-白浜間の臨時急行、そして和歌山駅や御坊駅などから、湖西線マキノへの琵琶湖スキー臨時快速とか、嵯峨野・嵐山への行楽客を当て込んで嵯峨野線(山陰本線)園部への直通臨時列車も運転されていました(いずれも梅田貨物線経由)。

このように、1990年代には臨時で阪和線に度々姿を現していた221系ですが、2000年春より、阪和線で定期列車の「快速」を中心に運用されるようになります。223系使用の「関空快速」「紀州路快速」とは異なり、天王寺駅発着(阪和線ホーム)の名も無い「快速」に充てられていました。奈良電車区所属の4両編成または2本連結の8両編成を使用、大和路線や奈良線などと共通でした(奈良線では2001年より運用開始)。加えて、<はやたま>~新宮夜行の馴れの果てである、深夜の快速・<新大阪→紀伊田辺>にも、165系の代替として使用されるようになり、紀勢本線紀伊田辺駅まで足を伸ばしました。

阪和線への送り込み経路として、和歌山線経由と天王寺駅大和路線・阪和線連絡渡り線経由の2つのルートがありました。以前、臨時列車として阪和線に姿を現していた時代は、阪和貨物線(廃止)経由で回送されていたため、阪和線内での編成の向きは当時とは異なりました。221系阪和線快速設定当初、和歌山線の普通で和歌山駅まで送り込まれるものもあったようですが、ワンマン運転拡大のために廃止。

221系の阪和線快速は10年の短命に終わりました。2010年12月、225系5000番台が阪和線に登場、221系を置き換えました。以降、臨時も含めて221系が阪和線および和歌山方面に姿を現した例は知りません。