函館本線山線(小樽経由)を代表する優等列車の一つだった急行【ニセコ】。

函館本線(函館-旭川)は北海道最古の鉄道路線であり、かつては本州や函館と札幌および道内各地を連絡する主幹路線としての役割を果たしていたが、太平洋沿岸の室蘭本線開通後、複線区間が長くて線形の良い室蘭本線(室蘭、苫小牧、千歳経由)に幹線機能をシフト。「山線」と呼ばれる函館本線の長万部-小樽間を走る優等列車は徐々に減り、国鉄末期1986年11月ダイヤ改正では全廃され、完全なローカル線となりました(小樽-札幌間は札幌近郊区間の複線電化だが、優等列車は設定されていない)。以降、この区間を通る優等列車はニセコ方面への観光向け臨時列車、あるいは有珠山噴火で室蘭本線が不通となった際の迂回として設定されるぐらいです。

さて、急行【ニセコ】ですが、この列車の歴史は珍しい経緯をたどっています。

というのも、末期には気動車(キハ56系)を全廃して客車だけになるという、他の急行・特急列車群とは逆のパターンだからです。気動車の【ニセコ】があった時代は、はるばる根室から根室本線(滝川経由)と函館本線経由で函館まで走破するロングラン列車も存在しました。また、函館-稚内間を走破するロングラン急行【宗谷】(気動車)も山線経由で運行されていました。1980年10月1日ダイヤ改正で、千歳空港(現・南千歳)駅開業に伴い、北海道の列車体系は、本州連絡を意識した函館基準から、航空機と連携して千歳空港・札幌中心に刷新、函館本線山線を経由する優等列車にもメスが入ります。【ニセコ】の気動車列車は廃止、客車のみとなります。客車急行といえば夜行が中心というイメージがあるが、北海道においては、【ニセコ】【天北】のように老朽化するキハ56系を客車に置き換えた例が存在します。

【ニセコ】は1981年2月より、特急用14系客車が充当され、急行列車としては破格の、「乗り得」列車になりました。キハ56系はおろか、キハ80系特急型気動車よりも快適だったようですね。その14系客車は、1980年10月改正で廃止された関西~九州連絡の山陽筋急行列車からの捻出だったみたいです。北海道向けに改造が行われ、特に客用扉は折り戸から引き戸に変更されるなど、本州用とは印象がかなり変わりました。

ちなみに、山線経由の特急には【北海】があり、1981年には急行列車の格上げで、2往復に増強され、新型キハ183系も充当されました。しかし、1986年11月ダイヤ改正までに山線経由の優等列車は全廃。このほか、函館本線には北海道で最後まで旧型客車が残り、函館-札幌間の夜行普通列車などで活躍してきたが、やはり1986年11月ダイヤ改正で廃止。