国鉄通勤型気動車キハ35系。

キハ35系が1961年関西本線大阪口ラッシュ対応用に投入されたことは、周知の通りでしょう。同系列は101系通勤型電車の開発成果を生かして、ロングシート・3枚扉(外吊り式)を基本仕様とし、キハ35形・キハ36形・キハ30形の3系式から成り立ちます。キハ35形は片運転台・トイレ付き、キハ36形は片運転台・トイレ無し、キハ30形は両運転台(トイレ無し)の仕様とされました。 

さて、キハ35 217号ですが、この車両はある意味、オンリーワンの異端車でした。キハ35形は0番台が217両製造され、そのラストの1両(0番台のほかに、寒冷地用の500番台、ステンレスの試作900番台も存在)。217号は他のキハ35形とは異なる点がありました。それは、トイレの照明に蛍光灯が採用され、換気兼用の明り採り窓が細長くなっている(キハ45系やキハ58 1000番台以降と同じもの)ことです。

キハ35 217号は奈良気動車区(→運転所)生え抜きで、主に奈良周辺の関西本線などで活躍を続けました。1984年10月奈良線電化開業後、亀山機関区に転属。紀勢本線・参宮線にも足を伸ばすようになるが、国鉄末期の1987年廃車。キハ35系としては新しいにもかかわらず、JRに引き継がれませんでした。