国鉄末期、1970年代末~80年代半ば(87年3月)の新車について。この頃、分割民営化などが視野に入り、各地域ごとの輸送実態に合わせ、個性的な新形式が相次いで登場。京阪神新快速用117系、201・203・205系通勤型電車、電化ローカル線用105系、185系特急型電車、キハ183系特急型気動車、・・・。

ここでは、上記の新形式たちよりも、むしろ同時並行で最終増備された標準的な従来型形式(103系、113系など)を中心に書いてみたいと思います。 


関西圏では、1979~80年にかけて新快速用117系を製造、旧来の153系急行型電車を置き換えました。

一方、1978年より113系2000番台が東海道・山陽本線快速用に順次投入され、阪和線・紀勢本線(青帯)にも6連×1本だけ製造されました。

また、1980年3月草津線・桜井線・和歌山線(王寺-五条)電化の名目で新造された車両もあります。それは、

113系2700番台(湘南色)
113系2000番台(春日色)

で、2700番台は700番台とともに湖西線・草津線(そして東海道・山陽本線)で共通運用。2000番台春日色(6両×3本)は主に関西本線(大和路線)快速で使用され、朝夕を中心に和歌山・桜井線に直通運転を実施。2000番台春日色のうち、中間モハ2両×2本は、後年紀勢本線御坊-紀伊田辺ローカル用としてワンマン仕様にクモハ化改造され、最後の活躍を続けましたが、本年3月、およそ40年の寿命で引退したばかりですね。


関西ではお目にかかれなかった103系高運転台車も、1979年にようやく登場しました。まず、大阪環状線・片町線・桜島線にオレンジ色が数本登場。片町線は四条畷-長尾間の複線化完成と東寝屋川(→寝屋川公園)・藤阪駅の開業に合わせ、非冷房101系ばかりだったところに高運転台車103系が加わり、当然冷房車で利用客には喜ばれたことでしょう。

翌年1980年夏には、阪和線にも高運転台103系(青色)が6連×3本登場。阪和線は関西で最初に103系の運用が始まった路線で、首都圏からの中古車が多く、非冷房車もざらでした。阪和線の103系は主に普通電車で使用されるが、快速・区間快速での運用も少なからず存在しました。

1981年4月、福知山線大阪-尼崎-宝塚間電化開業に合わせ、関西初の黄色103系が新車でデビュー。編成単位での103系基本形式としては福知山線用が最後だったようです(その後、首都圏に中間車の最終増備や、筑肥線~福岡市営地下鉄直通用1500番台が追加されるが)。もちろん高運転台・冷房付きで大阪-宝塚間の普通電車専用に投入されるが、篠山口・福知山以遠への旧型客車や気動車普通列車と共存というミスマッチな顔ぶれとなり、ある意味面白かったです。3年後の1984年、6連から4連に短縮、一部のモハユニットは片町線などに転用されました。


115系も1983年まで各地で増備が続きました。1978年以降、115系は寒冷地用1000番台(113系2000番台に相当)を基本仕様とし、北関東の東北・高崎線系統、新潟・長野地区、山陽本線岡山地区までの広範囲に投下。岡山地区への1000番投入は、1982年伯備線電化まで続きました。1000番台はJR東日本・西日本のほか、JR東海(中央西線山間部ローカル用)にも継承されました。

温暖地向けには2000番台として、山陽本線広島地区と身延線用に投入。身延線用はトンネル内架線高さの関係などにより、広島地区と一部仕様が異なります。

さらに広島地区には、1982年11月ダイヤ改正より、「広島シティ電車」として国電型ダイヤを導入、これに合わせ3000番台が登場。3000番台は115系と117系の「合いの子」でした。すなわち、顔立ちは115系ながら、117系と同じ2ドア・転換クロスシートという「珍車」で、好評を博しました。その後、関西地区221系投入で余剰となった117系中間車を岡山地区115系に組み込む、という「迷車」まで出現します。


気動車・客車について。1977~82年にかけて、全国各地にキハ40系(キハ40・47・48形)を800両以上新造投下され、旧来のキハ10系などを置き換えました。その後、JR発足直前にキハ32とかキハ54などの軽快気動車が四国・九州・北海道向けに製造されるが・・・。

客車はローカル輸送向けに50系(レッドトレイン)を新造、旧型客車を置き換えます。車内の雰囲気は同期のキハ40・48と同じでしたね。関西圏では草津線・山陰本線・播但線・姫新線・和歌山線などに投入されました。しかし、郵便・荷物輸送廃止などに伴い、普通列車は電車・気動車化で余剰気味に、10年にも満たず廃車されたものもあったようです(せっかくの新形式なのに冷房無しということも災い)。一方、青函連絡線開通に伴い、快速【海峡】号に50系客車が充当されることになり、リニュアル工事で活性化した例もあります。