(その2)
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しかし、転んでもただは起きない受験生だった自分。

前回の抜け道は失敗だったと反省。遠回りではあっても走りやすい道から回るほうが、確実に目的地にたどり着けるはずだ。受験でも同じだろうが、とお説教を食らったようでした。

ということで、8月上旬、予備校の夏期講習休みの日に、再度名張へ挑戦。受験勉強そして文化祭の準備練習よりも、サイクリングへの執念は尋常ではありませんでした。2年前の高1のとき、風邪で寝込んだり雨の多い天候不順とかであまり思うように動けなかったりして、その私怨は根強かったと思います。

実は、この日、家族で映画を観にいこうと誘われたんだけど、断りました。しかし、後になってみればこの選択に悔いを残すことに。

今度は、R168~奈良r5~奈良r14~R165、すなわち法隆寺・田原本・桜井・榛原経由で、近鉄大阪線に沿うわかりやすいルートを往復しました。R165はもちろん坂道も多いが、比較的走りやすかったです。宇陀市榛原以東は宇陀川(淀川水系・名張川の支流)の流路に従い、名張までは標高を下げてゆきます。目の前を近鉄特急が賑やかに行き交い、小さい頃、志摩半島まで海水浴に連れて行ってもらったことを懐かしみながら、ひたすら国道を走り続けました。

目的地・名張への到達はめでたく達成。名張市は伊賀盆地南西部の都市(人口7万人)で、三重県にして珍しく大阪のベッドタウン。近鉄の列車ダイヤも一般列車は大阪志向で、特急での着席通勤も珍しくありません。大阪通勤圏のほぼ東限に当たるため、名張以東はローカルムードが濃厚です。名張といえば、探偵小説家・江戸川乱歩(1894-1965)の生誕地として有名。名張市周辺の見どころとして、赤目四十八滝や香落渓などがあります。

さて、問題はその後。行きで燃え尽きたのか、今度は帰り道で死にそうになりました。炎天のもと熱射病寸前のヘトヘトで、地獄でしたね。目的達成の喜びよりも孤独感と疲れだけが残り、家族との誘いを断って遠くへ飛び出したことを後悔する始末でした。みんなで揃って出かけたほうが美味しくて涼しい楽しみを満喫できたのに、後の祭り・・・。

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しかし、これに懲りることなく、夏休み最後の日には、また別のところへ自転車で走ったのです。

やはり丸一日炎天下を走ったため、今度も「疲れるだけの旅」でしたね。

本当は文化祭の練習に来るように電話があったんだけど、サボりました。炎天下の孤独のもと、後ろめたさもあって、結局疲労感だけが残りましたね。

今思えば、当時の自分の不徳が実に恥ずかしい限りです。自分のやりたい目標を意地でも達成しようという姿勢は良いが、現実社会においてやるべきことは多く、TPOを弁える必要があります。そもそも、あの酷暑のもと、一人無理を押し通しても、寂しい思いをして疲れるだけでいいことはなかった。それよりも高校最後の文化祭の練習にみんなで力を合わせるほうが利徳が大きいはずで、悔いを残すことなく高校を卒業、幸先の良い大学生活のスタートを切ることもできたでしょう。