奈良県の国鉄・JRを走った急行型電車について書いてみました。

奈良県といえば、近鉄王国ゆえに昔から国鉄・JRの定期特急列車不在の県として有名ですね(【あすか】【しらはま】が運転されたことはあるがいずれも短命で消滅)。国鉄時代は電化も遅れていたので、気動車急行は2006年まで生き長らえた関西本線の【かすが】(名古屋-奈良・湊町)などが有名ですが、電車急行は一度も運転された実績もなく、したがって153・165系などに代表される急行型電車とは縁が薄いと言えます。

しかし、奈良県の鉄道(国鉄・近鉄)は1984年10月の国鉄奈良・和歌山線電化開業当日に全国有数の県内電化率100%を達成。これは奈良県の鉄道の誇れるものと言ってもいいでしょう。 その後、奈良県にも団体・臨時列車として165・167系がしばしばお目見えするようになります。

さっそく、翌年1985年夏、奈良県から琵琶湖への海水浴ならぬ湖水浴臨時列車(快速)が大ミハ165・167系で運転されました。運転区間は確か王寺-近江舞子間で、走行経路は和歌山・桜井・奈良・湖西線。恐らくこれが奈良県初の急行型電車だったのではないでしょうか? 

国鉄最後の1986年11月ダイヤ改正では、同じ天王寺鉄道管理局管内の紀勢本線ローカルに165系が転用され、日根野電車区に3両編成×11本配置。日根野の165系は普通列車のほか、臨時急行【きのくに】や南近畿方面の団体・臨時列車にも抜擢されるようになります。

1988年の奈良シルクロード博開催時には、和歌山・御坊から阪和貨物線経由奈良への臨時列車を増発、日根野の103・165系が使用されました。関西本線大阪口こと大和路線を走行する165系は貴重な記録だったでしょう。

その後、毎月1回の天理臨では165・167系の出番も多くなり、JR西日本(本ヒネ、本ミハ)ばかりかJR東海(海シン)の車両も奈良・桜井線経由天理まで足を伸ばします。天理臨には、北近畿方面からキハ58系・キハ65「エーデル」・キハ181系、また遠路東日本各地から183・189系「あずさ色」や青森の24系客車(DD51牽引)なども姿を現し、普段JR西日本エリアでは見ることのない顔ぶれも加わって奈良・天理に結集、鉄道ファンの注目スポットでした。これも奈良のJRの花舞台と言えるでしょう。

しかし急行型車両の全体的な老朽化に伴い、1997年ごろから165・167系の出番も徐々に減ります。JR西日本管内では2002年春の日根野165系引退を最後に直流急行型電車は全廃。