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気動車特急【あさしお】。

急行【丹後】ともども、非電化時代の山陰本線京都口(主に京都-福知山間)を代表する優等列車でした。

【あさしお】【丹後】とも、列車ごとに行き先はバラバラで、【あさしお】は城崎・倉吉・米子・東舞鶴行きがあり、城崎行きについては舞鶴・宮津線(→京都丹後鉄道)経由もありと、運転系統も複雑でした。

さっそく宮津線経由の【あさしお】について紹介したいと思います。

この宮津線回りで京都-城崎を結ぶ【あさしお】は、綾部・西舞鶴・豊岡で合計3回のスイッチバック運転でした。気動車急行のスイッチバックは珍しくないが(同じく宮津線を走行した名古屋-出雲市間の【大社】も3回のスイッチバック)、特急列車のスイッチバックはそれほど多くないと思います。

スイッチバック運転の特急といえば、【はまかぜ】【ひだ】【しらさぎ】などがあるが、せいぜい1回か多くて2回ぐらいでしょう。3回以上スイッチバックする特急列車は、なかなか珍しいと思います。スイッチバックが多いと、それだけ停車時間を要し、また座席の向きを頻繁に変えないといけないので、乗務員・利用客双方にデメリットが多いですね。

宮津線経由の【あさしお】は、北近畿の2大観光地、天橋立と城崎温泉を直結する列車でした。京都駅から乗車するときに、進行方向右側の座席を確保すれば、座席の向きを変えることなく(舞鶴線内と豊岡-城崎間は進行方向と逆向き)車窓から若狭湾や天橋立の景色を望むことができました。

宮津線は1990年、第三セクターに転換(北近畿タンゴ鉄道→京都丹後鉄道)するが、山陰本線園部-綾部・福知山間電化開業の1996年3月まで運転されました。

【あさしお】をはじめ北近畿を走る特急型気動車(キハ80系、キハ181系)は、向日町・米子の2区の所属でした。1986年11月福知山線電化で【まつかぜ】廃止、1996年に【あさしお】廃止後も、播但線経由の【はまかぜ】が残っています。【はまかぜ】は最後のキハ181系定期列車で、キハ189系に置き換えられました。