国鉄急行型気動車を代表するキハ58系。
キハ58系には使用線区・地方などによっていくつかの形式があるが、一番代表的なものは本州以南用で汎用的なキハ58・28形だ。キハ28・58のちがいは、エンジン搭載個数であり、キハ28形は1エンジン、キハ58形は2エンジンで、通常はキハ58とキハ28の混結で編成を組むことが多かったが、房総地区など平坦路線ではキハ28だけの編成で運用されていたようだ。また、キハ28に冷房電源装置が付けられたため、車両の冷房サービスにも欠かせなかった(キハ58だけでは冷房稼動は不可能)。
また、キハ58系の後継として、強力エンジンのキハ65も製造され、主に西日本地区に配置されるが、急行から特急への格上げが始まり、少数だけにとどまった。

各形式の細かいことはさておき、キハ58系の特徴といえば、前面の平窓だ(北海道用キハ56系も同様)。
同時期に作られた急行型電車および近郊型電車は「パノラミック」と呼ばれる窓で、153系準急「東海」のイメージから「東海型」とも呼ばれている。今も全国各地で活躍中のキハ40系も「東海型」の顔だ。パノラミック=東海型の顔は、国鉄のみならず私鉄の車両にも広く採用され、京阪旧3000系特急車や山陽電車3000系もパノラミック窓だ。

toukai
「東海型」と呼ばれる顔の代表 153系と113系電車
(「時々 撮りバス」さまより拝借)

これに対してキハ58系急行型気動車だけはなぜかパノラミック窓ではなく平窓の顔となった。パノラミック窓に比べてやや古風な印象がある。

P3240018
キハ58系(最終増備車を除く)だけは平窓の顔となった

ただし、マイナーチェンジが行われた最終増備車だけは異なる。キハ58・1100番台、キハ28・1000番台(→冷房改造車には車両原番号+2000とした3000番台)が該当し、キハ58・1100番台は43両、キハ28・1000番台は24両製造された。従前に製造されたものとの大きな違いは顔であり、153・165系や113系電車などと同じ「東海型」、近代的なスタイルとなった。


scan084
キハ58 1100番台
「東海型」の窓が特徴
キハ65もこの顔と同じスタイル

「東海型」の顔をしたキハ58・28だが、車両の需給関係のためか近畿地区に集中投下された。特に「きのくに」などを担当していた和歌山機関区(天ワカ)に大量配備される。また、キハ28・1000番台は福知山機関区(福フチ)にもまとまった数だけ配置された。

1985年3月ダイヤ改正で「きのくに」全廃後、亀山・福知山・豊岡など近畿地方各地へ散らばっていく。パノラミック型のキハ58・28はその多くがJR西日本に継承される。特に福知山地区ローカル用(ワンマン化)のキハ58・28はパノラミックばかりだったようだ。

kiha58-fukuchiyama
電化前の山陰本線園部-福知山間普通列車などで活躍するキハ58・28
福知山のワンマン改造車はパノラミック型が多かった