カテゴリ: 近鉄電車


以前、大阪府最南端の駅(南海孝子駅)~同最北端の駅(能勢電妙見口駅)間のノーラッチでの乗車ルートについて投稿しました。

http://katanogawara.blog.jp/archives/43325288.html

それは、改札を出ることなく南海~JR~近鉄~阪神~神戸高速~阪急~能勢電の順に行き来可能という事実を利用したものです。これを実行する際には、精算等で面倒なトラブルを回避するために、事前にフリーチケットを買い揃え、旅行当日の朝一番に改札機に通すという、「下準備」をするほうが望ましいでしょう。

同様の企画として、大阪府最東端のJR片町線(学研都市線)長尾駅(枚方市)から妙見口駅までだと、どのようなルートが可能なのかを考えてみました。JR~近鉄~阪神~阪急~能勢電の順は同じですが、必要な乗車券購入等の下準備に工夫が必要です。

さっそく、乗車ルート例を以下4つ挙げます。

【ルート1】(木津・奈良・吉野口経由)
長尾      ~ 木津      【JR片町線】

木津      ~ 奈良      【JR関西本線 または 奈良線】
奈良      ~ 高田      【JR桜井線】
高田      ~ 吉野口     【JR和歌山線】

(または)

木津      ~ 王寺      【JR関西本線(大和路快速ほか)】
王寺      ~ 吉野口     【JR和歌山線】

吉野口     ~ 橿原神宮前   【近鉄吉野線】
橿原神宮前   ~ 大和八木    【近鉄橿原線】
大和八木    ~ 鶴橋      【近鉄大阪線】
鶴橋      ~ 尼崎      【近鉄奈良線・阪神なんば線】
尼崎      ~ 高速神戸    【阪神本線】
高速神戸    ~ 十三      【阪急神戸線】
十三      ~ 川西能勢口   【阪急宝塚線】
川西能勢口   ~ 妙見口     【能勢電鉄】

【ルート2】(おおさか東線・柏原・道明寺経由)
長尾      ~ 放出      【JR片町線】
放出      ~ 久宝寺     【JRおおさか東線】
久宝寺     ~ 柏原      【JR関西本線(普通)】
柏原      ~ 道明寺     【近鉄道明寺線】
道明寺     ~ 橿原神宮前   【近鉄南大阪線】
橿原神宮前   ~ 大和八木    【近鉄橿原線】
大和八木    ~ 鶴橋      【近鉄大阪線】
鶴橋      ~ 尼崎      【近鉄奈良線・阪神なんば線】
尼崎      ~ 高速神戸    【阪神本線】
高速神戸    ~ 十三      【阪急神戸線】
十三      ~ 川西能勢口   【阪急宝塚線】
川西能勢口   ~ 妙見口     【能勢電鉄】

【ルート3】(一筆書きで2つの「尼崎」駅を経由)
長尾      ~ 尼崎      【JR片町線・JR東西線】
尼崎      ~ 大阪      【JR東海道本線】
大阪      ~ 天王寺     【JR大阪環状線(内回り)】
天王寺     ~ 柏原      【JR関西本線(普通)】
柏原      ~ 道明寺     【近鉄道明寺線】
道明寺     ~ 橿原神宮前   【近鉄南大阪線】
橿原神宮前   ~ 大和八木    【近鉄橿原線】
大和八木    ~ 鶴橋      【近鉄大阪線】
鶴橋      ~ 尼崎      【近鉄奈良線・阪神なんば線】
尼崎      ~ 高速神戸    【阪神本線】
高速神戸    ~ 十三      【阪急神戸線】
十三      ~ 川西能勢口   【阪急宝塚線】
川西能勢口   ~ 妙見口     【能勢電鉄】

【ルート3】の2つの「尼崎」とはJRと阪神の両・尼崎駅のこと。JRと阪神の尼崎駅は1kmほど離れています。これら2つを一筆書きで通るようにプランを考えるのも一興だと思いました。同じ駅を重複通過しないなら、例の「近郊区間大回り乗車」を楽しむことも可能ですね。せっかくなので、次のように滋賀・三重に足を伸ばす大規模プランも良いでしょう(JRの運賃は【ルート3】と同じです!)。

【ルート3a】
長尾      ~ 尼崎      【JR片町線・JR東西線】
尼崎      ~ 草津      【JR東海道本線】
草津      ~ 柘植      【JR草津線】
柘植      ~ 加茂      【JR関西本線】
加茂      ~ 柏原      【JR関西本線】
柏原      ~ 道明寺     【近鉄道明寺線】
道明寺     ~ 橿原神宮前   【近鉄南大阪線】
橿原神宮前   ~ 大和八木    【近鉄橿原線】
大和八木    ~ 鶴橋      【近鉄大阪線】
鶴橋      ~ 尼崎      【近鉄奈良線・阪神なんば線】
尼崎      ~ 高速神戸    【阪神本線】
高速神戸    ~ 十三      【阪急神戸線】
十三      ~ 川西能勢口   【阪急宝塚線】
川西能勢口   ~ 妙見口     【能勢電鉄】


三重県のJR東海管内から近鉄に入るルートも可能です。

【ルート4】(亀山・津・松阪経由)
長尾      ~ 木津      【JR片町線】
木津      ~ 加茂      【JR関西本線】
加茂      ~ 亀山      【JR関西本線】
亀山      ~ 松阪      【JR紀勢本線】
松阪      ~ 鶴橋      【近鉄山田線・大阪線】

(または)

亀山      ~ 伊勢市     【JR紀勢本線・参宮線】
伊勢市     ~ 鶴橋      【近鉄山田線・大阪線】

鶴橋      ~ 尼崎      【近鉄奈良線・阪神なんば線】
尼崎      ~ 高速神戸    【阪神本線】
高速神戸    ~ 十三      【阪急神戸線】
十三      ~ 川西能勢口   【阪急宝塚線】
川西能勢口   ~ 妙見口     【能勢電鉄】


【ルート4】の亀山・津・松阪・伊勢市回りは大阪近郊区間からはみ出すことになるので、当然ながら近郊区間の特例を利用した「大回り乗車」は不可。「青春18きっぷ」ほかを使うほうが得でしょう。

さて、問題は旅行開始までの下準備。南海孝子駅発着の企画だと、大阪難波駅で近鉄と阪急阪神両方のフリーチケットを改札機に通せて楽ですが、JR長尾駅発着の場合はその点、少し手間がかかります。例えば枚方・交野など京阪沿線から出発する場合、次のようにすればよいかもしれません。

1)阪急阪神1Dayチケット → 阪急高槻市駅で購入・入札
(高槻市~【阪急京都線】~烏丸 / 四条~【地下鉄烏丸線】~竹田)
2)近鉄週末フリーチケットほか → 竹田駅で初回改札
(竹田~【近鉄京都線】~新田辺~【徒歩】~京田辺~【JR片町線】~長尾)


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近鉄南大阪・吉野線特急車16000系唯一の4両編成(Y8Y51編成)がこの3月に定期運用から引退するそうです。ラストランツアーが3月15日に行われます。

https://blog2.kintetsu.co.jp/ekichou/files/20240315.pdf

3月16日のダイヤ改正で南大阪・吉野線の特急にもかなり変更があります。平日のさくらライナー(26000系)重連運用は消え、また16000系Y8Y51編成の代替新造もなく、全体的に運用減となるようです。

https://ttakewebpage.com/archives/23460505.html



 kintetsu1978-2
志摩線のある駅にて 18200系特急京都行きが到着(1978年)

 kintetsu-kyoto-1984
京都に停車中の賢島行き12200系?(1984年)

 kintetsu1978-1
どこの駅だったかは忘れたが、「赤福」の看板に注目・・・

 kintetsu30000
昭和の近鉄特急の花形といえば、30000系ビスタカー(原型姿) 伊勢市にて

 


大阪市西区九条に「ナインモール九条」という名前の商店街あります。

最寄り駅は大阪メトロ中央線と阪神なんば線の九条駅。ナインモール九条商店街は、間近にオリックス・バファローズ(旧・近鉄バファローズ)の拠点、京セラドーム大阪があり、バファローズ球団と連携して活性化を模索し続けてきたそうです。

今年、阪神 vs オリックスの日本シリーズ対決、別名「阪神なんば線対決」が実現したことに伴い、ナインモール九条には今まで以上に人が集まって盛り上がったようです。際どい激戦の末、オリックスは一歩及ばずだったが、健闘でしたね。朝日新聞11月9日夕刊にその記事が載っていました。

「九条」駅といえば、近鉄の駅名ネタの一つで有名。大阪・奈良・京都に合わせて4つの九条駅(大阪メトロ、阪神、近鉄橿原線、京都市営地下鉄烏丸線)があるが、これら4駅に近鉄からの直通列車が停車するという興味深い現象があります。しかも、大和西大寺駅から4つの九条駅までの乗車券を券売機で購入可能で、加えて大阪メトロを除く3つの九条駅まで1本の列車で行き来可能なのですね。さらに、大阪市内2つの九条駅は、旧・近鉄バファローズの本拠地最寄です。これも何かの由縁でしょうか??



天空の竹田城跡で有名な播但線・竹田駅(兵庫県朝来市)から、京都市の竹田駅までのノーラッチ乗車ルートを考えてみました。

結論から言うと可能です。ただ、意外な「落とし穴」が一つあります。それを避けるために、播但線の竹田駅から出発するとき、条件が付きます。実際、以下2つの例が可能な乗車ルートです。

【ルート1】
竹田      ~ 和田山      (JR播但線)
和田山     ~ 福知山      (JR山陰本線)
福知山     ~ 大阪       (JR福知山線)

大阪      ~ 天王寺      (JR大阪環状線)
天王寺     ~ 柏原       (JR関西本線)
(または)
大阪      ~ 久宝寺      (JRおおさか東線)
久宝寺     ~ 柏原       (JR関西本線)

柏原      ~ 道明寺      (近鉄道明寺線)
道明寺     ~ 橿原神宮前    (近鉄南大阪線)
橿原神宮前   ~ 竹田       (近鉄橿原・京都線)


【ルート2】
竹田      ~ 大阪       (特急【はまかぜ】:
                    播但線・山陽・東海道本線)


大阪      ~ 天王寺      (JR大阪環状線)
天王寺     ~ 柏原       (JR関西本線)
(または)
大阪      ~ 久宝寺      (JRおおさか東線)
久宝寺     ~ 柏原       (JR関西本線)

柏原      ~ 道明寺      (近鉄道明寺線)
道明寺     ~ 橿原神宮前    (近鉄南大阪線)
橿原神宮前   ~ 竹田       (近鉄橿原・京都線)


【ルート1】と【ルート2】では、播但線竹田駅からの進む方向が逆であることに注意しましょう。播但線上り(寺前・姫路経由)で行く場合、姫路駅に中間改札という「関所」があります。上り姫路方面へ向かうとき、姫路の中間改札を避ける唯一の方法は、特急【はまかぜ】大阪行きに乗ること。このとき注意すべきことは、【はまかぜ】から新快速などに乗り換えるのは、加古川以東の停車駅のみ可(【はまかぜ】大阪行きは姫路駅の播但線ホームに停車。逆に【はまかぜ】香住・鳥取方面行きは、姫路駅7番のりばに停車するため、姫路駅で山陽本線→播但線に中間改札を通らないで乗り換え可能な唯一の方法)

したがって特急列車を使わない場合は、必然的に逆方向(和田山経由)へ回ることになります。本当にややこしいですね。

【ルート1】では、興味深いことに、福知山線の「丹波竹田」駅を通り(播但線竹田駅とともに同じ兵庫県にある)、さらに2つの「古市」駅(JR,近鉄)を通過します。本来、京都駅で乗り換えて近鉄京都線または地下鉄烏丸線で竹田駅に行くルートが最短経路で実用的ですが、これだとノーラッチの旅が成立しません。少なくとも大阪府・奈良県を経由する必要があります(もちろん、三重県まで遠回りも可能です)。

大回りで三重県を回るなら、せっかくだから、次のルートが面白いでしょう。

【ルート3】
竹田      ~ 和田山      (JR播但線)
和田山     ~ 福知山      (JR山陰本線)
福知山     ~ 東舞鶴      (JR山陰本線・舞鶴線)
東舞鶴     ~ 敦賀       (JR小浜線)
敦賀      ~ 米原       (JR北陸本線)
米原      ~ 名古屋      (JR東海道本線)

名古屋     ~ 津        (快速【みえ】または特急【南紀】)
津       ~ 大和八木     (近鉄特急アーバンライナー)
(または)
名古屋     ~ 松阪       (
快速【みえ】または特急【南紀】)
松阪      ~ 大和八木     (近鉄山田線・大阪線)

大和八木    ~ 竹田       (近鉄橿原・京都線)


【ルート3】で特に注意すべき点は、新幹線の利用は不可ということ(ノーラッチの条件があるため)。敦賀~米原~名古屋間で先を急ぎたいなら、特急【しらさぎ】に課金するのもありでしょう。


近鉄大阪線の「快速急行」

近鉄をはじめ、私鉄会社の多くでは、「快速急行」という列車種別は、「特急」に次ぐ上位種別、あるいは料金不要列車の最上位種別に位置づけられています。

近鉄の快速急行といえば、まず奈良線(+阪神なんば線、阪神本線、神戸三宮-大阪難波-近鉄奈良間)がお馴染みでしょう。停車駅数も(近鉄線内では)有料の特急よりも2駅多い程度で、特に奈良線では短距離ということもあって、特急よりも快速急行のほうが運転本数が多いです(それでも、有料の特急は着席が保障されることから、利用客から一定の支持があり、「ひのとり」80000系も入る)。奈良線の快速急行はかつて運行されていた無料特急が前身。奈良線でも特急が有料化されると同時に、「快速急行」が新設され現在に至ります。

奈良線以外での快速急行は、現在定期列車では大阪線+山田線+鳥羽線のみに設定されています。行楽シーズンには南大阪線+吉野線で臨時の快速急行が運行されます。かつて、京都線(京都-大和西大寺-近鉄奈良間)に快速急行が運転されたこともありました。

大阪線の快速急行についてレポートしてみました。

大阪線の快速急行はもともと朝と夕方以降の時間帯限定のため、運転本数は少ないです。大近年では、列車本数削減に合わせて、優等列車の停車駅数を増やす傾向にあり、大阪線では快速急行は減少気味です(以前、区間快速という種別もあったが、快速急行または急行に統合)。大阪線快速急行の最長運転区間は大阪上本町-鳥羽間の150kmに及び、近鉄の一般旅客列車として最長距離を誇り、JRを除く私鉄の料金不要列車の中でも上位クラスの距離でしょう。

快速急行の停車駅は、

大阪上本町、鶴橋、五位堂、大和高田、大和八木、桜井、榛原、室生口大野、赤目口、名張、桔梗が丘、美旗、伊賀神戸、青山町、榊原温泉口、伊勢中川、松阪、伊勢市、宇治山田-鳥羽間各駅停車

鶴橋を出ると大阪府内各駅は完全スルーし(一部の特急が停車する布施もスルー)、奈良県の五位堂まで26kmノンストップ運転です(これはJR新快速の最長通過運転距離を上回るはず)。急行の各駅停車区間が桜井-榊原温泉口間に伸びているご時世なので、快速急行ももう少し停車駅が多いだろうと思いきや、意外に少ないことに驚きました。各駅停車区間が名張-青山町間と鳥羽線内のみで、特急に引けをとらない俊足ぶりですね。実は2012年以前、もう少し停車駅が多く、名張-榊原温泉口間の各駅に停車していました。

快速急行の編成長は最大10両編成(ただし、大阪上本町-名張間)です。その理由もあって、停車駅は絞られています。名張駅以東は6両以下の身軽な編成で運転されます。運用車両は、100kmを超える長距離にもかかわらず急行と同様、基本的にロングシート車が多いが、クロスシート車(5200系、5800系)連結の便も少数ながら設定されています。

大阪線快速急行の面白い見どころとして、「伊勢志摩お魚図鑑」編成(2410系2432F)が連結されることが挙げられます。該当列車は平日ダイヤの名張07:43→大阪上本町08:45(松阪06:44発名張行き急行からの連続運転)と折り返し大阪上本町08:54→松阪10:50の1往復。

「伊勢志摩お魚図鑑」は鮮魚列車の後継車両。鮮魚列車は伊勢志摩の行商人さんが新鮮な魚介類を大阪鶴橋の魚屋・飲食店に届けるために仕立てられた団体専用列車で、松阪-大阪上本町間にて設定されたものだが、利用数の減少および専用車両老朽化に伴い2020年春廃止。以降、「伊勢志摩お魚図鑑」編成を定期の快速急行・急行に連結する運行形態に変更され、現在に至ります。実際に行商人専用に設定されている車両は、「お魚図鑑」編成の伊勢方先頭車(魚の絵がラッピングされている車両)1両で、一般の旅客は乗車できません(他の車両は一般旅客車と同じ扱いです)。


養老鉄道の終点・揖斐駅(岐阜県揖斐郡揖斐川町)。

養老鉄道は2007年まで近鉄養老線でした。養老鉄道(養老線)は三重県と岐阜県を直接結ぶ唯一の鉄道路線。桑名駅(近鉄・JRと接続)を起点に、揖斐川の流路に寄り添って北西に進み、大垣駅でスイッチバックを経て、揖斐に至る全長57.5kmのローカル線。(元)近鉄のローカル線としては長距離の路線でした。

運転系統上、スイッチバックのある大垣で分割されており、別の路線のように見えます。養老線は名古屋線や大阪線・奈良線など、近鉄の主要幹線と線路規格(標準軌1435mm)が異なり、国鉄・JRと同じ狭軌(1067mm)。これは同社線の南大阪・吉野線(旧・天王寺営業局路線)などと同じです。

昭和~平成初期の養老線といえば、名古屋線元特急車が転用されたりして、吊り掛け・クロスシート車が多く、乗り鉄には魅力のスポットでした。平成に入って南大阪線用の通勤冷房車を改造転入(6000・6020系→600・620・625系)、養老鉄道になった現在では、元・東急のステンレス車(7700系)に置き換え中です。

養老線は桑名-大垣間で十分じゃないか、なぜ大垣からさらに北へ伸びているのか、疑問に思われるでしょう。もともと養老線には、四日市港と敦賀港を結ぶ計画があったそうで、初代・養老鉄道(現在の養老鉄道とは異なります)の手で明治末期~大正初期にかけて、現在の桑名-大垣-養老間が全通。その後、養老線は養老電気鉄道→伊勢電気鉄道→参宮急行電鉄→関西急行電鉄を経て、近畿日本鉄道(近鉄)の路線となります。

四日市港と敦賀港を結ぶルートに近い陸路として、国道365号線(関ヶ原・長浜・今庄経由)が存在します。また、大垣市から養老鉄道に並行する国道417号線も、揖斐駅からさらに北に向かって福井県に達しています(県境の冠山峠付近で事実上分断区間だが、2023年中にトンネルが貫通する予定)。

揖斐駅はかつて近鉄の最北端の駅でした。同じ緯度前後にある駅として、上中駅(JR小浜線)、東舞鶴駅(JR舞鶴線・小浜線)などが挙げられます。ちなみに揖斐駅~京都駅間は近鉄の片道最高運賃で3,000円を超えていました。

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揖斐駅周辺地図

なお、近鉄(近畿日本鉄道)が誕生したのは、戦時中に関西急行電鉄と南海鉄道(→現・南海電鉄)が合併したときです。当時の近鉄の最北端は岐阜県の揖斐、最南端は和歌山港(現・南海和歌山港線)ということになります。

国道417号線 2つの「池田町」
http://route861.livedoor.blog/archives/22115639.html



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近鉄通勤車の最大勢力だった8000系。

1964~1980年にかけて奈良・京都・橿原線用に200両以上投入されたが、 老朽化に伴い20年以上にわたって少しずつ廃車が進み、生き残りもわずかになりました。先日最後の3連ユニットB78・B79の2本が高安に廃車回送と報告されました。これにより、8000系の3連ユニットは消滅。

8000系には2連・3連・4連ユニットが組成されていたが、3連はB70・B71・B76~B79の6本のみ。一昔前の京都・橿原・天理線において3連単独運用も存在したが、現在の奈良線系統においては田原本線(8400系3両編成)を除いて奇数編成そのものがなくなり、近年では3連ユニットを2本つないだ6両編成での運用が基本的でした。

8000系の3連ユニットについて、一つ興味深い運用があったのを知りました。それは2001~2003年の生駒線。生駒線のワンマン運転開始前で、昼間時間帯に8000系3連の単独運用があったと知って驚きました。生駒線の3連運用があったということは、田原本線用8400系ワンマン車が代走で生駒線の営業運用に入った可能性もあります。生駒線のワンマン運転開始後、1026系4両編成に置き換えられ、丸屋根車(8000系列)は乗り入れることがなくなりました。

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京都・橿原線急行で運用のB79ほか6両編成


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近鉄新田辺駅で購入可能な他社連絡乗車券について、面白いネタを見つけました。

それは、淀屋橋までの乗車券。新田辺から淀屋橋までは、京阪(丹波橋乗り換え)と大阪メトロ(地下鉄、生駒乗り換え)の2つの経路の乗車券を券売機で購入することが可能なのです。運賃は、

京阪(新田辺→丹波橋→淀屋橋)            710円
大阪メトロ(新田辺→大和西大寺→生駒→本町→淀屋橋) 940円


で、京阪のほうが230円安いです。距離的には京阪のほうが遠回りだが、乗り換えは1回だけで済みます(丹波橋から特急が便利ですね)。生駒乗り換えの場合、近鉄けいはんな線~地下鉄中央線直通で本町まで一本で行けるが、割高感があります(さらに今春、近鉄の運賃大幅値上げが予定されており、地下鉄経由だと1,000円を超えそうだ)。

新田辺駅は、大阪メトロ連絡乗車券の購入可能な近鉄京都線の最北端にあたります。ちなみに、阪神連絡乗車券は、京都府内の近鉄駅では購入できません(京都線では高の原以南が可能です)。

なお、近鉄から京都市営地下鉄を経て京阪京津線・石山坂本線への連絡乗車券は購入できません(そもそもこの乗車ルートを利用する人は少ないでしょう)。


近鉄京都線ではレア種別の「準急」。

2022年12月17日ダイヤ改正で、京都線のダイヤは大きく変わりました。このダイヤ改正では、京都~奈良間直通の「急行」減便(大和西大寺乗り換え)と、「普通」の新田辺での系統分離が、特に目立ちます。 「近鉄奈良へは特急をご利用ください」と言わんばかりの、特急への誘導を強めているようですね。JR奈良線の複線化拡大に合わせ、京都~奈良間のJRの競争力がアップするというのに、来年運賃大幅値上げを予定している近鉄は大丈夫なのでしょうか?

今度のダイヤ改正において、京都線関係ではこのほか、地味ながら「準急」(京都~新田辺)にもかなり変化がありました。上り(京都行き)は増便される一方、下りの「新田辺行き」は消滅。「準急」の停車駅は、

新田辺~丹波橋間各駅停車、竹田、東寺、京都

で、通過する駅は3駅。かつては向島を通過していたが、向島に停車するようになった結果、丹波橋以南各駅停車となっています。

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この種別・行き先表示はもう見られない?


京都市営地下鉄関係で「煩わしい行き先」を挙げてみました。

【烏丸線(近鉄京都線)】
(北行き)
近鉄京都線から直通の「国際会館行き」

【東西線(京阪京津線)】
(東行き)
「浜大津行き」


まず、近鉄京都線竹田以南の各駅で「国際会館行き」が来ると困る、という乗客は多いと思われます。その大半は、近鉄京都駅で下車または乗り換え、あるいは上鳥羽口~東寺間で下車、という方でしょう。地下鉄烏丸線は京都駅前を通るが、地下鉄京都駅で下車するときに不足運賃の精算が必要となるのが理由です。たまに間違って「(地下鉄)国際会館行き」と気づかずに乗ってしまうと、こういうハプニングに遭います。

竹田-京都間では近鉄京都線と地下鉄烏丸線が少し離れて並行しており、地下鉄の駅(くいな橋・十条・九条)で下車して横の近鉄各駅(上鳥羽口・十条・東寺)まで歩けない距離ではないが、やはり地下鉄に乗ってしまうと運賃が割高になります。

近鉄~地下鉄乗り入れ車両は、京都市交10・20系(銀色の電車)、近鉄3200・3220系です。市交車のときは一目で判別がつくが、近鉄車が来たときに乗り間違いが起こりそうですね(ちなみに3200・3220系が近鉄京都まで行く運用も普通に存在)。

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京都市交10系 近鉄奈良まで乗り入れる
大和西大寺に到着する急行|国際会館行き

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近鉄3200系 地下鉄烏丸線直通のほか京都・奈良・橿原・天理線で広範な運用をこなす
左は「シリーズ21」9020系

* * * *

似たようなパターンが東西線でもあります。

地下鉄東西線(御陵以西各駅)で京阪京津線直通の「浜大津」行きが来たとき。特に山科駅でJRに乗り換えたい場合、複雑な気持ちになります。地下鉄山科と京阪山科は別の駅で、JRへは地上駅である京阪山科からの乗り換えのほうがラクだが、御陵から京阪京津線に入るため、割高運賃となるのが痛いですね。ある意味、上の烏丸線のケースと逆のパターンでもあり、「六地蔵」行きに乗り、乗り換えが面倒でも仕方なく、市営地下鉄の駅で降りるのが一般的のようです。

地下鉄~京阪京津線乗り入れ車両は、京阪800系のみ。すなわち、京阪の片乗り入れです。かつて京都市役所前折り返しだったが、現在は東西線の終点・太秦天神川駅まで直通運転が行われています。

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京阪800系 浜大津~太秦天神川間の運用に入る
地下鉄、山岳鉄道、そして併用軌道を走行し、小ぶりながらハイスペックな車両



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かつて、近鉄京都線(旧・奈良電鉄)の木津川橋梁南詰(富野荘-新田辺間)に「木津川」駅という臨時駅がありました(現存する「木津川台」駅とは場所も異なるので注意!)。 開業は1929年(昭和4年)。

木津川橋梁の下に、およそ3.3万㎡(京セラドーム大阪に匹敵!)に及ぶ水泳場が設けられ、白砂の広がる美しい浜だったようです。海から遠い京都市近郊の水泳場ということで、琵琶湖とともに人気を集めたそうです(京都府北部・丹後半島に日本海・若狭湾があるが、国鉄の列車で数時間の距離だった)。この水泳場開設に合わせ、仮設の「木津川」駅が置かれ、水泳場へのアクセス機能を果たしました。最盛期の1955年(昭和30年)には、17万人もの電車利用があったそうです。

しかし、高度経済成長に伴う開発と環境悪化、プール施設の普及などに伴い、木津川水泳場の利用は減少。1965年(昭和40年)に水泳場が閉鎖されるとともに、木津川駅の営業も休止(正式廃止は1974年)。水泳場の跡地は木津川運動公園として再整備されています。

奈良電鉄は1963年(昭和38年)近畿日本鉄道と合併し、路線名も近鉄京都線となりました。したがって、「木津川」駅の近鉄直営時代はわずか2年だったことになります。

「木津川」駅があった当時、奈良電(→近鉄)と京阪は丹波橋駅で相互乗り入れし、京阪三条・四条から奈良までの直通列車もありました(運用車両は奈良電→近鉄車のみを使用)。「木津川」駅休止から3年後、近鉄京都線(および奈良・橿原・天理線など)の架線電圧1500Vへの昇圧工事が完成、600Vのままだった京阪との相互乗り入れは廃止されました。


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近鉄の新型通勤車両導入が決まりました。「シリーズ21」登場以来で、塗装デザインが一新されます。投入開始は2024年度、まず奈良・京都・橿原線に4連×10編成が投入される計画で、L/Cカーであるのは軽く驚きました。これに伴い、8000・8400・8600系などの丸屋根車を置き換える模様です。

今度の新車投入計画について気になるのは、

1)阪神直通対応の有無
2)大阪・名古屋・南大阪線への導入可能性と規模
3)田原本線の後継車両

といったところでしょう。

ここでは田原本線用車両について予想してみたいと思います。

田原本線では奈良・京都・橿原線と同じ8400系が運用中(西大寺検車区所属)。3両編成ワンマン仕様車(8409F・8411F~8416F)が田原本線専用車ですが、時に他ユニットと長編成を組んで本線系の優等列車(快速急行・急行・準急ほか)で運用されることもあります。

8400系はもちろん新車への置き換え対象になっているはずで、近鉄全体的に希少となった3両ユニット車(プツ3両)の処遇も気になるところ。今後、新車で3両編成に仕立てることは考えにくく、2両編成に短縮するか、あるいはあえて4両に増強するかが考えられそうです。

仮に4両にした場合、1026系ワンマン編成を生駒線と共通で使用することになるでしょう。この場合、当然ホーム延長工事などが必要でしょう。ちなみに、8400系導入前の田原本線では小型車820系2両編成が使用されていました。

ワンマン運転のまま3両から4両に拡張した実例として、JR阪和線羽衣支線(羽衣線)を思い出しました。もともと103系の3両編成が使用されていたが、阪和線の通勤車両を223・225系(3ドア)に統一することから、羽衣線の車両も4両化されました。結果的に、わずか1.7kmの短い1駅間を転換クロスシート車がピストン運行することに。



近鉄がおよそ15年ぶりに新型通勤車両を投入すると発表されました。

昭和40年代(1965~1974年)に製造した車両約450両について、2024年度以降、利用状況を見極めた上で必要分を順次置き換える、とのこと。

詳細コメントについては割愛するが、いわゆる丸屋根車の多くが代替対象となりそうです。一つ気になるのは、3両ユニット車(田原本線用などごく一部)、名古屋線や南大阪線はどうなるのか。

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奈良・京都・橿原線といえばこの顔(8000系列)でしょう

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丸屋根車のラスト 8800系

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田原本線ワンマン用3両(8400系)後継車はどうなるか

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大阪線の急行といえば2610系ほかのイメージ

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名古屋・山田線普通で活躍する1800系

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南大阪・吉野線用も気になる



京阪神エリアから三重県東紀州(紀勢本線尾鷲・熊野市方面)へ「青春18きっぷ」で日帰り旅行しようと考えたことがあります。

しかし、JRの普通・快速列車のみでの日帰りはかなり厳しいようです。例えば京阪沿線からだと、

○学研都市線~(木津)~関西本線~(亀山)~
○(高槻または京都)~琵琶湖線・草津線~(柘植)~関西本線~(亀山)~


の最短2ルートで紀勢本線の三重県側へ入ることが可能ですが、いずれも列車本数が少なく、特に紀勢本線多気以南の普通列車との接続が悪いようです。 いっそのこと、逆方向の天王寺・和歌山から紀伊半島一周するルートで訪れるのもありだが、やはり時間がかかりすぎますね。

ここは近鉄で松阪へ先回りすることを考えましょう。近鉄のルートとしては、丹波橋経由よりも大阪市内から回るほうが早いでしょう(特急に乗る場合は別)。そのとき、京橋~鶴橋間をJR大阪環状線で渡るルート(京橋で「青春18」の日付を押してもらう)が最速で一般的でしょう。

ただ私個人的には、松阪駅で当日分の日付スタンプを入れてみたいと考えており、また大阪上本町駅(地上ホーム、以下「上本町」と略記)から始発の大阪線急行(宇治山田方面行き)に座りたいので、大阪市内の乗車ルートも一工夫したいところ。上本町経由だと天満橋~(大阪メトロ谷町線)~谷町九丁目が定番ルートとなるが、谷町9~近鉄上本町駅の長い地下通路を歩くのが少々手間。もう少しひねりが欲しいですね。

北浜~(大阪メトロ堺筋線)~日本橋ルートはなかなか面白いと思いました。実は日本橋での近鉄との乗り換えは容易で、堺筋線で阪急車、そして近鉄日本橋~上本町間(奈良線)の一駅のみながら阪神車が来て、関西私鉄車両のバラエティを楽しむ方法もありですね。鶴橋の同一ホーム上で大阪線に乗り換えることも可能ですが、座席確保のために上本町から乗って行きたいところ。朝の時間帯の急行は5200系(転換クロス車)に当たる確率が高いようです。

松阪駅は近鉄・JRの共同駅で、両者のホーム間はノーラッチで行き来できます。改札を出ずにJRに乗り換えることも物理的に可能ですが、せっかく松阪駅には松阪牛の駅弁(新竹商店さん)が豊富に揃っているし、「青春18」に「松阪」の日付スタンプを押してもらいたいので、面倒でも一度改札を出たいところ。

松阪で駅弁を購入しても、紀勢本線のキハ25系普通列車はロングシートなので、駅弁を楽しめる雰囲気でないのは残念。強いて車内で食べるとしたら、手でつまめるお手ごろ価格の「モー太郎寿司」が無難でしょう。

帰りのルートはどうするか?

余裕があれば、紀勢本線をそのまま西へ進み、新宮から串本を経て和歌山へ大回りしたいところですが、当日中に帰り着けるか微妙。乗ってきた道をそのまま松阪・亀山方へ引き返すほうが早いでしょう。せっかくだから、多気から参宮線に乗り換え、伊勢市・二見浦・鳥羽に寄り道したいところ。伊勢神宮外宮だけでもお参りしたあと、伊勢うどんに舌鼓を打ちましょう(笑) 少々遅くなっても近鉄に乗れば大丈夫ですね。

もちろん、JRで真っ直ぐ帰るのもありです。亀山で関西本線加茂行きに乗り換え、柘植から草津線でも、加茂から大和路線でも、その他好きなルートで良いでしょう。


関西私鉄で旧国名の付く駅のリストを作ってみました。

【近鉄】
(河内:大阪府)
河内永和(奈良線)
河内小阪(奈良線)
河内山本(大阪線、信貴線)
河内国分(大阪線)
河内天美(南大阪線)
河内松原(南大阪線)
河内長野(長野線)

(大和:奈良県)
大和西大寺(奈良線、京都線、橿原線)
大和高田(大阪線)
大和八木(大阪線、橿原線)
大和朝倉(大阪線)
大和上市(吉野線)

(伊賀:三重県)
伊賀神戸(大阪線)
伊賀上津(大阪線)

(伊勢:三重県)
伊勢石橋(大阪線)
伊勢中川(大阪線、名古屋線、山田線)
伊勢中原(山田線)
伊勢若松(名古屋線、鈴鹿線)
伊勢朝日(名古屋線)
伊勢松本(湯の山線)
伊勢川島(湯の山線)

(志摩:三重県)
志摩赤崎(志摩線)
志摩磯部(志摩線)
志摩横山(志摩線)
志摩神明(志摩線)


【南海】
(和泉:大阪府)
和泉大宮(南海本線)

(河内:大阪府)
河内長野(高野線)

(紀伊:和歌山県)
紀伊清水(高野線)
紀伊細川(高野線)
紀伊神谷(高野線)


【京阪】
(河内:大阪府)
河内森(交野線)


日本最大の私鉄・近鉄は旧国名を冠する駅が多いことで知られるが、南海にも幾つか存在します。

南海本線と並行するJR阪和線(旧・阪和電鉄→南海山手線)には「和泉」の付く駅名が多いが、南海本線にも「和泉大宮」があるのは意外です。

「河内長野」は南海・近鉄の共同駅であり、市名にもなっています。近鉄では路線名は「長野線」で、以前は行先表示も「長野」だけだったが、近年では旧国名を行先表示機や案内放送などに入れるフォーマットに変更され、「河内長野」表示がデフォルトです。

「河内松原」はその駅名(松原市)とは別に、全く違う場所の東大阪市・花園ラグビー場前に同じ名前の交差点が存在して紛らわしいです(かつて存在した近鉄バス「河内松原」停留所も東大阪市)。

近鉄では「河内」「伊勢」を冠する駅名が多く、一方「大和西大寺」「大和八木」の存在感のわりに、「大和」の数はさほど多くないですね。「志摩」は志摩線に集中しています。

京阪で旧国名の付く駅は「河内森」が唯一で、珍しいです。面白いことに、乗り換え駅のJR片町線(学研都市線)のほうは「河内磐船」を名乗ります。「河内森」は「河内磐船」に影響されたものと言えるかもしれません(昔、国鉄片町線との交差地点に京阪の駅があったが移転)。

近鉄・南海・京阪そしてJRともども、「河内」の付く駅名が存在するのも、興味深いです。

「紀伊」はJR紀勢本線・和歌山線に多いですが、南海高野線に3駅存在するのも驚きです。

阪急・阪神には旧国名の付く駅は存在しません(阪急京都線に「摂津市」駅が存在するが、それは飽くまで市名なので)。並行するJR東海道本線には「摂津富田」「摂津本山」があります。


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平成初期(1桁、1990年代前半)の頃の伊勢市・宇治山田駅前について、思いつくままに書いてみました。

あの頃、時々近鉄またはJR参宮線に乗って伊勢市を訪れることがありました。 

JR・近鉄との共同駅・伊勢市駅構内には、JRの伊勢車両区があり、紀勢本線・参宮線・名松線用の気動車(キハ11・キハ40系・キハ58系)が配置されていました。快速【みえ】はキハ58系からキハ75系への置き換え過渡期でした。

近鉄のほうは、汎用特急車の新型22000系(AEC)が登場。また、志摩スペイン村開業(1994年)に合わせ、志摩線の複線化とリゾート風デザインの特急車・伊勢志摩ライナー23000系が華々しくデビューした時期でもあります。伊勢志摩ローカルで活躍していたユニークな680系(元・京都線特急車)は一度乗ってみたい車両だったが、既に引退済みでした。普通列車は鳥羽線・志摩線を含め、4ドアロングシートの標準通勤車ばかりになっていました。

伊勢市駅前にはジャスコや三交百貨店がありました。三交百貨店は松阪駅前に本店があったが、いずれも閉店してしまいました。典型的な中心市街地の衰退パターンですね。

伊勢市駅は伊勢神宮外宮への最寄り駅。正式の参拝順路としては外宮→内宮のようで、小学校の修学旅行のとき、外宮だけを巡回しました。内宮へは隣の近鉄宇治山田駅からバス、または五十鈴川駅下車が便利です。伊勢市駅前と宇治山田駅の間の距離は1km圏内で、徒歩移動も十分可能です。近鉄独自のターミナル・宇治山田駅前のほうが賑やかですね。

三重交通のバスといえば基本的にいすゞ車で、なぜか富士重ボディ(3E・5Eほか)も多かったです。他に日野ブルーリボンのトップドア車や三菱エアロスターMなどの個性派も少数ながらいましたね。

伊勢志摩を訪れたときに味わいたいB級グルメといえば、伊勢うどん、手こね寿司、赤福ですね(^-^) そして、松阪牛が自慢の松阪駅弁もぜひ。


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18200系または18400系京伊特急です。どこの駅だったかは失念。
 


近鉄の新しい観光特急「あをによし」 デビューのプレスリリースが公表されました。

https://www.kintetsu.co.jp/all_news/news_info/awoniyosi.pdf

「あをによし」は2022年4月29日より運行開始、大阪難波~奈良~京都を結ぶ予定です。運行ダイヤは、下記の通り。

①大阪難波 09:30頃 → (近鉄奈良経由) → 京都 10:50頃
②京都 11:20頃   →  近鉄奈良 11:55頃
③近鉄奈良 12:10頃 →    京都 12:45頃
④京都 13:20頃   →  近鉄奈良 13:55頃
⑤近鉄奈良 14:10頃 →    京都 14:45頃
⑥京都 15:20頃   → (近鉄奈良経由) → 大阪難波 16:40頃


運行日は週6日(週1日運休)、停車駅は通常の特急と同じ(大阪難波・大阪上本町・鶴橋・生駒・学園前・近鉄奈良・大和西大寺・近鉄丹波橋・京都)です。

改造車両は今年引退した12200系の4両1編成。座席レイアウトは2名用ツインシート、3~4名用のサロンシートの2種類(全座席指定、合計84席)で、お一人様には敷居が高くなっているようなのが少し残念。観光特急にふさわしく、販売カウンター(軽食・飲料等)が設置されます。

今回の目新しいポイントの一つは、大阪難波~京都直通でしょう。かつて同区間を結ぶ特急(阪京特急)が大和西大寺スイッチバックで運転されていたが、1992年に廃止。今回、観光特急という形で、1往復のみながら30年ぶりの復活ということになります。近鉄奈良経由(大和西大寺-近鉄奈良間は往復運転)および近鉄丹波橋停車が、以前の阪京特急と異なるが、スイッチバック運転であるのは変わりません。



近鉄鈴鹿線は名古屋線の伊勢若松駅から平田町までを結ぶ全長8.2kmの短い支線。 全区間三重県鈴鹿市にあり、鈴鹿サーキットへの重要なアクセス(平田町駅など下車)となっています(最寄り駅は伊勢鉄道の鈴鹿サーキット稲生)。

鈴鹿線は現在、一部列車を除いてワンマン運転。当路線には平日1本だけ優等列車が設定されています。それは朝の近鉄四日市発平田町行き急行。停車駅は塩浜・伊勢若松と鈴鹿線内各駅停車。鈴鹿線内ホーム有効長に合わせ3両編成での運転です。折り返しは普通・伊勢若松行きとなります。

鈴鹿線の優等列車は、かつて近鉄名古屋発着の準急(鈴鹿線内各駅停車)が運転されていました(1983年廃止)。これとは別に、F1日本グランプリが鈴鹿サーキットで開催される時に、近鉄名古屋行きの臨時急行が運転されることもあったようです。

鈴鹿線の駅名ネタにも興味深いものがあります。

「鈴鹿市」駅はもともと神戸城の城下町・神戸町であったことから「伊勢神戸」だったが、1963年の鈴鹿市-平田町間延伸開通と同時に現駅名に改称されました。一方、鈴鹿線と交差する伊勢鉄道(旧・国鉄伊勢線)に「鈴鹿」駅があるが、鈴鹿市街地は近鉄鈴鹿市駅が近いです。ちなみに、JR関西本線にも、昔「鈴鹿」駅が存在したが、国鉄伊勢線の開通(1973年)に合わせて新駅に名称を譲り、旧「鈴鹿」駅は「河曲」(かわの)に改称されました。

それから「三日市」駅があることもびっくり。名古屋・四日市方面から鈴鹿線に直通する列車は、「四日市」と「三日市」に停車していることになるわけですね。


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更新工事前のビスタカー30000系の姿です(1996年、伊勢市にて)。

更新後は中間ダブルデッカー車の窓配置が大きく変わりました。

更新前は小さい窓がいくつも並び、ハーモニカーをイメージする姿でした。

このスナックカー以来の塗装も過去のものになりましたね。
 


京都方面から三重へ鉄道で行くとなれば、まず近鉄が有力な選択肢として思い浮かぶことでしょう。

京都~松阪・伊勢・鳥羽・志摩は、『京伊特急』または大和八木乗り継ぎの『京橿+阪伊特急』が最速・快適です。名古屋線の津・四日市・桑名へも、大和八木乗り継ぎで『京伊または京橿+名阪乙特急』が定番でしょう。

京都~三重への鉄道としては、近鉄のほかJR(西日本・東海)も一応使うことはできます。近鉄ルートだと奈良県を経由するため、特に県北部の四日市や桑名へは距離的に遠回りとなります。一方、JRは滋賀県から入る草津線経由が三重への最短ルートで(旧・東海道に沿ったルート。ちなみにバス・マイカーも草津線と並行する新名神経由が定番ルート)、古くから京阪神と伊勢志摩を結ぶルートとして重宝されてきました。ただ、JRの列車本数は少なく、基本的に普通列車乗り継ぎの旅となるハンディがあります。

さっそく、京都~津・四日市・桑名間の近鉄(特急)・JR利用のそれぞれの運賃・距離・所要時間を比較してみたいと思います。

(1)京都~桑名
◎近鉄(特急)
距離 184.3km
乗車券2,410円+特急料金1,930円=4,340円
所要時間 2時間22分(京橿+名阪乙特急)
乗り換え回数 1~2回(大和八木など)

◎JR
距離 115km(東海道本線、草津線、関西本線経由)
乗車券1,980円
所要時間 2時間37分
乗り換え回数 3回(草津・柘植・亀山)

(2)京都~四日市 or 近鉄四日市
◎近鉄(特急)
距離 171.1km
乗車券2,290円+特急料金1,640円=3,930円
所要時間 2時間10分(京橿+名阪乙特急)
乗り換え回数 1~2回(大和八木など)

◎JR
距離 101.6km(東海道本線、草津線、関西本線経由)
乗車券1,980円
所要時間 2時間23分
乗り換え回数 3回(草津・柘植・亀山)

(3)京都~津
◎近鉄(特急)
距離 141.5km
乗車券1,950円+特急料金1,640円=3,590円
所要時間 1時間48分
乗り換え回数 1~2回(大和八木など)

◎JR
距離 94.4km(東海道本線、草津線、関西本線、紀勢本線経由)
乗車券1,690円
所要時間 2時間4分
乗り換え回数 3回(草津・柘植・亀山)

京都~四日市・桑名間の距離は、JRのほうが近鉄よりも70kmほど短く、また京都~津間では50kmほどの差でJRは100kmを割っています。所要時間も近鉄特急とJR普通列車乗り継ぎの比較では、JRのほうが若干遅いものの、ほぼ互角と言えます。実際、柘植での草津線から関西本線亀山行きへの乗り換え客が多く、京都・滋賀と三重の間のJR旅客流動が一定程度存在することを示唆しています。

運賃・料金面だけを見ればJR利用がお得と言えるが、JRの場合、1時間に1本の路線が多く、同時出発とすれば、やはり近鉄特急のほうが早いですね。ただ、近鉄利用でも「特急を使わない」とすれば(大和八木・伊勢中川などで乗り換え)、距離が長い分JRよりも大幅に所要時間がかかり、運賃もJRより安くなることはありません。

総合的には、近鉄特急利用が運賃・料金は高くても、早くて快適ということになりますね。

桑名・津は近鉄・JRの共同駅であるが、JR四日市駅と近鉄四日市駅は離れているので注意。三重県最大の乗降客数を誇る近鉄四日市の賑わいとは対照的に、JRは閑散としており(乗降客数は近鉄の1割)、まるで異次元の世界です。地元で「四日市駅で待ち合わせ」といえば、近鉄四日市のことですね。

なお、草津線の電車は朝夕、京都直通もあるので、時間帯によってはJRの乗り換え回数は2回で済むこともあります。関西本線柘植-亀山間および紀勢本線(津方面)は非電化です。


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近鉄のL/Cカー5800系を忘れてはいけませんね。


大阪~京都間を結ぶ鉄道には、JR新幹線・東海道本線(JR京都線)・阪急・京阪の4つがあり、JR(新幹線を除く)・阪急・京阪は所要時間・スピード・運賃・快適さなどの輸送サービス面で凌ぎを削る激しい競合関係にあります。

どちらが有利なのかは一概に言えず、目的地にもよりけりで一長一短でしょう。スピード重視ならJRの新快速、運賃の安さでは阪急、所要時間のハンディはあるが快適さを求めるなら京阪特急を選ぶのが一般的でしょう(京阪特急にはプレミアムカーやダブルデッカーが連結されている!)。

京都市内の目的地も京都駅周辺ならJR、四条烏丸は阪急、四条河原町・祇園・東山エリアは阪急または京阪、洛北エリアへは京阪が便利です。四条烏丸や洛北方面へは京都駅から地下鉄(烏丸線)利用もかなり一般的のようです。

大阪~京都間の移動には、他にも可能なルートが幾つか存在します。その一つは近鉄(奈良線・京都線)。大阪側のターミナルはJR・阪急はキタの梅田なのに対して、近鉄はミナミのなんば(難波)(京阪はその中間の京橋・淀屋橋)。近鉄ルートは大和西大寺乗り換えのやや遠回りルートですが、意外に使えるようで、有料特急に乗るプレミアムな移動も可能です(うまくいけば伊勢志摩ライナーや「ひのとり」に乗ることもできる)。近鉄の京都側のターミナルはJRと同じ京都駅です。

* * * *

ここで意外な競合ルートを一つ挙げてみたいと思います。

対象区間は大阪日本橋~四条烏丸間。日本橋はなんばから東へ一駅目、黒門市場や「でんでんタウン」などで有名でしょう(「でんでんタウン」は堺筋線で南へ一つ先の「恵美須町」下車)。国立文楽劇場やなんばグランド花月・よしもと漫才劇場へも日本橋駅から徒歩数分の圏内で便利です。

日本橋~四条烏丸間の競合路線として、

1)大阪メトロ堺筋線~阪急千里線~京都線(烏丸駅下車) (48.6km)
2)近鉄奈良線~京都線~京都市営地下鉄烏丸線(竹田乗り換え、四条駅下車) (63.8km)


が存在します。堺筋線は阪急千里線・京都線に、烏丸線は近鉄京都線に乗り入れています。

運賃は

1)630円、2)1,160円

で、2)の近鉄ルートは距離が長い分、運賃もおよそ2倍ですね。

所要時間はどうでしょうか?

1)51分(淡路で特急乗り換え)、57分(高槻市で特急乗り換え)、73分(全区間準急に乗車)
2)84分(奈良線快速急行・京都線急行利用、竹田で烏丸線乗り換え)


と、やはり阪急ルートが早く、残念ながら近鉄を利用する実用上のメリットは感じられません。

阪急の準急・京都河原町行き(土休日限定)を乗り通す場合と比較すると、近鉄ルートも所要時間的にはいい勝負と言えます。それでもなお、高槻市以東各駅停車ではあるが「乗り換え無し」の阪急直通準急に分があると言えるでしょう。

近鉄を利用するメリットがあるとすれば、京都駅周辺や伏見区方面に用事があるときでしょうか。近鉄日本橋~京都間の運賃は960円と、やはり割高感はありますが。ただ、座席指定の有料特急を乗り継いで快適な移動を楽しむ考えもありで、石切付近から目の前に広がる大阪平野一望のパノラマ風景を楽しめるのも魅力と言えるでしょう。特急は日本橋には止まらないので、一つ隣の大阪上本町で乗り換える必要があります。

近鉄ルートの場合、阪神車(1000・9000系)+京都市交車(10系)のみの乗り継ぎパターンも可能です(大和西大寺から急行・国際会館行きに乗る場合のみ)。阪急ルートでは、大阪メトロ車(66系)は高槻市までの運転で、以遠は阪急車に乗り換えることになります。

阪急「烏丸」駅と地下鉄「四条」駅は、「四条烏丸」への駅名統一を望まれるところでしょう。



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三重・奈良県を中心とする近畿地方のJR(旧・国鉄)には、近鉄との共同駅が多いです。かつてはJRと近鉄のホーム間を同じ改札内(ノーラッチ)で行き来できる駅も多かったが、近年JRと他社線の改札を分離する流れで、ノーラッチの駅も減ってきています。

2021年4月現在、近鉄とJRがノーラッチの駅は以下の通り。

柏原(近鉄道明寺線、JR関西本線)
吉野口(近鉄吉野線、JR和歌山線)
津(近鉄名古屋線、JR紀勢本線)
松阪(近鉄山田線、JR紀勢本線・名松線)
伊勢市(近鉄山田線、JR参宮線)
伊賀上野(伊賀鉄道伊賀線、JR関西本線)


以前は、

桜井(近鉄大阪線、JR桜井線)
鳥羽(近鉄鳥羽線・志摩線、JR参宮線)
桑名(近鉄名古屋線・養老鉄道・北勢線、JR関西本線)

も可能でした。鳥羽・桑名はノーラッチ2020年までノーラッチだったが、JRの鳥羽駅は無人化と同時に近鉄との連絡通路は閉鎖、桑名駅も駅舎改築に合わせJRと近鉄ほかの改札が分離されてしまいました。

伊賀上野駅の伊賀鉄道は、旧・近鉄伊賀線でした。

ノーラッチというわけではないが、かつて京都駅で近鉄・JRの乗り換えの時は

1)近鉄→JR 近鉄の自動改札機を通過後、JRの有人きっぷ売り場で近鉄の乗車券を回収
2)JR→近鉄 近鉄の有人きっぷ売り場でJR乗車券を回収、近鉄乗車券を購入後自動改札機を通過

という方式だったと記憶しています。ここも今は近鉄・JRの改札は完全に分離されています。京都駅では特に新幹線と近鉄との乗り換えが近い距離にあり便利です。

参考までにJR・近鉄の他の乗り換え駅を以下挙げてみました。

鶴橋(近鉄大阪線・奈良線、JR大阪環状線)
大阪阿部野橋(近鉄南大阪線)=天王寺(JR大阪環状線・関西本線・阪和線)
俊徳道(近鉄大阪線)=JR俊徳道(JRおおさか東線)
河内永和(近鉄奈良線)=JR河内永和(JRおおさか東線)
王寺(近鉄生駒線、JR関西本線・和歌山線)=新王寺(近鉄田原本線)
天理(近鉄天理線、JR桜井線)
八木西口(近鉄橿原線)=畝傍(JR桜井線)
新祝園(近鉄京都線)=祝園(JR片町線)
京都(近鉄京都線、新幹線、JR東海道本線・山陰本線・奈良線)
川合高岡(近鉄大阪線)=一志(JR名松線)
近鉄名古屋(近鉄名古屋線)=名古屋(新幹線、JR東海道本線・中央本線・関西本線)


かつて養老線として乗り入れていた駅(岐阜県)も付け加えます。

大垣(養老鉄道養老線、JR東海道本線・美濃赤坂支線、樽見鉄道)

(2021.11.30追記)
近鉄の他社線直通区間でのJR接続駅も追加しました。

高井田(大阪メトロ中央線)=高井田中央(JRおおさか東線)
森ノ宮(大阪メトロ中央線・長堀鶴見緑地線、JR大阪環状線)
弁天町(大阪メトロ中央線、JR大阪環状線)
西九条(阪神なんば線、JR大阪環状線・桜島線)
神戸三宮(阪神本線)=三ノ宮(JR東海道本線)
京都(京都市営地下鉄烏丸線)=近鉄京都駅に同じ



東京~大阪間を「青春18きっぷ」で旅行する人も多いことと思います。先日「青春18きっぷ静岡問題」のレポートで述べたように、静岡県内は大半がロングシート車で普通列車しかなくて辛い区間でしょう。

ここでは発想を変えて、東京~大阪間を敢えて「ロングシート縛り」で旅するのはどうか、と考えてみました。

まず、メジャーな東海道本線経由の場合だと、愛知県の豊橋以西では転換クロスシート車(JR東海:311・313系、JR西日本:221・223・225系)が大半なので、豊橋で詰むことになります。

中央本線経由を選択すると、意外なことに「運次第」で、東京~名古屋間を通してロングシート車ばかりを乗り継ぐことは可能です。

中央本線八王子・高尾まではE233系、高尾~塩尻間は211系に乗ることになります。211系はロングシート車の確率は比較的高いが、セミクロス車に当たる可能性もあります(もちろん旅行する人にとってはクロスシートは大歓迎でしょう)。問題は塩尻から先のJR東海(中央西線)区間。塩尻-中津川間では基本的に313系のワンマン編成(クロスシート)が使用されるが、JR東日本の211系運用も2往復設定されており、ロングシートに当たる可能性があります。中津川~名古屋間は名古屋近郊の通勤路線ですが、競合路線のある東海道本線とは異なり、もともとロングシートの211系5000番台が連結されることが多いです(国鉄時代には103系通勤型電車が投入される)。

* * * *

東海道本線経由に話を戻しましょう。

東京-熱海または沼津間はE231・E233系のロング車に乗車します(もちろんセミクロスやグリーン車はNG)。熱海-浜松間は今更説明するまでもないでしょう。浜松-豊橋間はクロスシート車の列車(名古屋方面へ直通)も多く、なるべく静岡以東から豊橋まで直通する列車に乗ると良いでしょう。

豊橋から先はどうするか。

ここは、名古屋まで名鉄に乗りましょう。急行以下の列車種別だとロングシート(6000系、3500系ほか)に当たる確率が高いはずです。

* * * *

名古屋から先は?

東海道本線経由は無理とすれば、関西本線の選択が考えられるが、名古屋-亀山間は313系のクロスシート車、亀山-加茂間はキハ120でロング車とクロス車を混用、加茂-奈良-王寺間は大半が221系(少し前までは103系も多かったが)なので難しいですね。昔は名古屋-天王寺・湊町間175kmを走破する狂気のキハ35系なんてありましたが・・・。

ここは近鉄の急行を乗り継ぐほうが確実でしょう。名古屋-伊勢中川間は転換クロス車5200系4連+ロング車2連口が基本的で、ここはもちろんロング車に乗車。伊勢中川で乗り継ぐ大阪上本町行き急行は対照的にロングシートの2610系が充当されることが多く、5200系が来た場合もロング車が連結されているはず。

あるいは、せっかくなので紀伊半島一周するのも良いでしょう。

名古屋-松阪間は先述の近鉄急行でワープし、松阪から和歌山まで紀勢本線を乗り継ぐのです。松阪-新宮間はキハ25系、新宮-紀伊田辺-御坊間は必然的に227系(1000番台)に乗ることになります。ラストパートの御坊-和歌山間も227系の運用が増えたが、223・225系の運用も存在し、やや難しいところ。和歌山から先、阪和線は全て223・225系なので避けるしかありません(少し前まで阪和線は103系の溜り場だったが)。和歌山市内線(正式には紀勢本線の末端区間)の227系で和歌山市まで行き南海本線乗り換え、または和歌山線経由橋本で南海高野線、吉野口で近鉄吉野線~南大阪線、王寺で関西本線201系普通電車または近鉄生駒線に乗り換えて大阪市内に抜けるルートがあります。

* * * *

大阪市内からさらに西へ足を伸ばし、姫路まで「ロングシート縛り」の旅を続けることも可能です。

大阪-明石間はJR東海道・山陽本線普通電車(207・321系)を選び、明石で山陽電鉄に乗り換えます。山陽電鉄では5000系以外の車両を選びます。直通特急も阪神車は基本的にロングシートと思えば良いでしょう。

あるいは大阪梅田から私鉄乗り継ぎにしても面白いと思います。神戸市内までは阪神・阪急の2ルートが選べるが、阪急は特急・普通とも基本的にロングシート車(8000系の一部編成を除く)です。

なお、近鉄奈良-阪神神戸三宮間の快速急行も近鉄5800・5820系を除いてロングシートなので、これで奈良県から一気に神戸へ抜けることも可能です。


近鉄電車で「区間急行」という種別は珍しいと思われます。

実際、主要幹線である奈良線・大阪線・名古屋線・京都線には「区間急行」は設定されていません。

唯一「区間急行」が設定されているのが南大阪線(とその支線群)。停車駅は、

大阪阿部野橋、古市、尺土~橿原神宮前間各駅停車

です。「急行」に次ぐ上位種別で、種別の色は急行と同じ赤色です。

以前は御所線や吉野直通もあったように思いますが、現ダイヤでは朝・夜に1・2本運転されるのみのレア種別です。橿原神宮前から種別を「普通」に変更して吉野まで行く列車もあるようです(近鉄では途中で列車種別を変更しながら、時刻表上では別個の列車であるものを事実上1本の列車として仕立てる例が多い)。


民鉄では日本最大規模を誇る近鉄(近畿日本鉄道)。

近鉄の看板といえば有料特急でしょう。大阪・京都・奈良・名古屋・伊勢志摩の各地を結ぶ特急ネットワークを構築、近畿・東海の広域鉄道輸送における重要な位置を占めています。特に、名阪特急(【ひのとり】)と大阪・京都・名古屋~伊勢志摩系統(【しまかぜ】【伊勢志摩ライナー】ほか)は、近鉄特急を代表する主力系統に位置づけられています。

毎年初詣のシーズンには伊勢志摩方面への特急が大増発され、伊勢神宮への初詣客で満員御礼となります。奈良大和路・伊勢・京都を中心に有名寺社仏閣の多い近鉄では、大晦日~元旦にかけて終夜運転が行われ、大阪・京都・名古屋~伊勢系統の特急も旺盛に運行されます。伊勢特急は距離が長く所要時間2時間以上に及ぶため、事実上の夜行列車と言ってもよいかもしれません。

今年は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、終夜運転中止が決まりました。

関西の主な鉄道では、終夜運転に熱心だった近鉄・京阪は全面中止。阪急・阪神・南海は元旦の2時ごろまで延長運転、JRは3時ごろまで延長運転されます。終夜運転を実施するのは大阪メトロだけですが、緊急事態宣言の発令次第で中止になる可能性もあります。



「スナックカー」以来、近鉄特急汎用車に採用されてきたカラーも、いよいよ消滅へ秒読みです。

私が過去に撮影した「スナックカー」カラーの思い出スナップをアップしてみました。

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30000系ビスタカー
1980年代、「アーバンライナー」が登場するまで花形的存在だった

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大阪上本町駅地上ホームに停車中の阪伊乙特急(右)

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大阪上本町地下ホームに到着した難波行き

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橿原神宮前駅引込み線で待機中の30000系・京都行き
南大阪・吉野線ホームより撮影

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大和西大寺に停車中の奈良行き特急

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大和西大寺に汎用特急2本(大阪難波行き、京都ゆき)

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一時期運転されていた大和西大寺発名古屋行き臨時特急(22600系)

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「さくらライナー」(右)と16000系(左)とのツーショット(吉野口にて)

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大阪阿部野橋に停車中の吉野特急16400系



以前、近鉄京都線では快速急行が京都-奈良間に運行されていました。

定期列車として設定されていた時期は1998~2003年と短期間でしたが、途中の停車駅は竹田・丹波橋・大和西大寺・新大宮(2000年以降)に絞るなど、かなりの俊足ぶりだったようです。ただ、停車駅の少なさゆえに利用状況は芳しくない上、誤乗も多く、さらに2002年より丹波橋が特急停車駅になったこともあり(→丹波橋~大和西大寺間ノンストップは特急と同じ)、2003年春のダイヤ改正で廃止、急行に統合されました。

運行ダイヤは日中1時間あたり2本、竹田では地下鉄烏丸線直通の急行と接続して速達性の向上を図っていました。運用編成は4両編成だったそうです。せめて新田辺に停車していたら、もう少し利用状況は改善され、快速急行は存続していた可能性もありますね。いずれにせよ、国鉄阪和線の新快速(1972~78年)と同じ運命をたどったことになります。

なお、定期列車運転以前にも1988年なら・シルクロード博覧会の時にも、京都線(京都-奈良間)で臨時の快速急行が運転されたことがあります。途中の停車駅は丹波橋・大和西大寺で、現在の特急と同じですね。
 


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近鉄の新型通勤車投入は、2009年阪神なんば線開業以降止まったままです。

特急車には80000系「ひのとり」を投入中で、汎用特急車12200系シリーズが順次代替される予定ですが、通勤車の新造については何の音沙汰もない状態です。

大阪線1253系VC60の行先表示機がフルカラーLEDに改造され、Twitter上で盛り上がっていますが、これは今後も当分通勤車の新造を見送るシグナルと受け止められているようです。丸屋根車の淘汰は1990年代後半からかなり進んだものの、現在もなお相当数残っており、いわゆる内装のC更新?で延命を施されたものもありますしね。


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一昔前の近鉄特急といえば、このイメージでしょう・・・


阪神・山陽・近鉄3社の電車が乗り入れ、賑やかですね(^-^)

山陽・阪神の電車は姫路~阪神大阪梅田間を直通運転しているし、阪神と近鉄は近鉄奈良まで相互乗り入れするなど、一昔前までは考えられなかったでしょう。団体専用列車として、伊勢志摩・名古屋から阪神三宮まで近鉄特急22600系がやって来たこともあるが・・・。

阪急神戸三宮駅にも山陽電車は顔を見せるが、阪神三宮とは対照的に、山陽車は片隅に追いやられたような印象で、寂しさを感じます。かつて、山陽の電車も阪急六甲まで直通していましたが。

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阪神9000系

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山陽5000系

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近鉄9820系

※ 上の2枚の画像は、阪神大阪梅田での撮影でした。お詫び申し上げます。2015年当時の阪神神戸三宮の画像を追加アップさせていただきます。

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近鉄のリゾート特急車「伊勢志摩ライナー」23000系。

1994年志摩スペイン村開業(三重県志摩市)に合わせて製造され、大阪・名古屋・京都~伊勢志摩系統の一部の特急列車を中心に活躍しています。

1988年バブル絶頂期の時に、名阪ノンストップ特急に「アーバンライナー」21000系を投入。当時として斬新な流線型の車体デザインと、颯爽たる白主体の塗装が施され、近鉄特急のイメージを刷新しました。

伊勢志摩系統の特急には、2階建ての「ビスタカー」30000系などが使用されてきましたが、1978年間の登場から10年以上経過しており、また汎用特急車(12000系シリーズ)のマイナーチェンジという印象も強く、アーバンライナーに続く新型車両の投入が望まれていました。1994年の志摩スペイン村開業に合わせ、満を持して「伊勢志摩ライナー」23000系が登場。ビジネス色の濃いアーバンライナーに対して、伊勢志摩ライナーは、アーバンライナーの車体デザインや走行性能を基本的に継承するも、観光・リゾート列車らしく、塗装デザインは伊勢志摩の太陽をイメージし、明るい黄色を配する、というものになりました。「デラックス車両」も設定され、ゆったり落ち着いた車内空間となっています(JRでいえばグリーン車で、特別車両料金が必要)。バブル経済崩壊後の登場ではあるが、バブル期の余韻を感じられる豪華さは十分ですね。

伊勢志摩ライナーの登場は、JR西日本の【くろしお】用283系<オーシャンアロー>にも影響を与えており、両者はよく似ていますね。

登場から20年以上経過し、リニュアル工事が行われました。リニュアル後、「赤の伊勢志摩ライナー」も登場しています。

伊勢志摩ライナーは、間合いで京奈・阪奈特急にも入ります。


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ふと、昭和時代の頃の近鉄京都線について、思いつくままに書いてみたくなりました。

近鉄京都線にとっての「昭和」とは、私個人的に京都市営地下鉄烏丸線との相互乗り入れ開始前、すなわち1988年(昭和63年)以前のイメージで捉えています。

昭和の近鉄京都線といえば、 車両関係では920系や3000系など、アクの強い車両が印象的でした。京都線の通勤車は橿原線や奈良線などと基本的に共通使用であり、昭和50~60年代は汎用の8000系シリーズ(8000・8400・8600・8810・9000・9200系ほか)が主力でしたが、京都・橿原・天理線限定で近鉄唯一のステンレスカー3000系(1編成のみ)や、旧型吊り掛け車の更新である920系(→名古屋線1010系)も活躍。3000系は1979年、地下鉄烏丸線直通運転開始を視野に4両×1編成だけ試作されるが、実際には3200系VVVF車が烏丸線直通の任に就くことになり、持て余す存在に。その後も京都・橿原・天理線の普通などで地味に活躍を続けるが、特殊構造ゆえに運用・保守現場では扱いづらかったようで、不幸にして2012年、わずか33年の短い生涯を閉じました。

1988年以前の京都・橿原・天理線の普通は2~3両の短編成が多く、ローカル線の雰囲気が残っていました。京都線には1980年代中盤まで小型車800系(元・奈良線無料特急車)も時折姿を見せることもあったようです(晩年は主に生駒線で活躍)。

このほか、1982年6月より京都線急行の京都-新田辺間5両運転を実現するため、名古屋線からMc1650形が転属(同年ダイヤ改正当初、6両運転を実施するものの、ホーム有効長が4両編成分しかない地上の大久保駅両端に踏切が設置されていたため、道路交通への影響が問題になり、1両短縮の5両に変更)。8000系などの4両編成にMc1650形を朝ラッシュ時の新田辺で増結、京都駅で解放するという運行スタイルだったようです。狭幅車の1650形は京都線系統においては異色の存在でした。その後、1987年大久保駅高架化と合わせ京都線急行6両運転の本格開始以降、1650形は主に橿原・天理線の普通で8000系などに増結で使用されるが、非冷房のまま1990年までに営業運転から引退。

特急車については、基本的に大阪・名古屋・奈良線系統など広軌線区共通だが、京都・橿原線には狭幅車18000・18020系・18200系なども多かったようです。特に18000系は特急車でありながら吊り掛け駆動で、1982年に廃車されました。どちらかといえば格落ちの印象が強かった京都線特急ですが、現在では伊勢志摩ライナーやしまかぜも姿を見せるなど、随分進化したものです。

丹波橋で京阪から近鉄に乗り換えるとき、2~3両の短編成特急がノロノロと通過する光景は奇妙に感じられました。今では丹波橋に特急が止まります。かつて、昭和40年代前半まで京阪と相互乗り入れを行っていたが、近鉄の架線電圧1500Vへの昇圧を前に、直通運転は廃止されましたね。京阪も遅れて1983年、ようやく1500V昇圧工事が完了しましたが。


2020年3月14日、近鉄のダイヤ改正が実施されます。

今度のダイヤ改正の目玉は、

○名阪特急に新型車両80000系「ひのとり」運転開始

○土休日の快速急行(神戸三宮~奈良)を6両→8両に増強


 というところでしょう。

現在、21000系ほか「アーバンライナー」シリーズで運用中の分(甲特急)を、来年までに順次80000系「ひのとり」に置き換え、「アーバンライナー」は汎用車で運用中の(乙特急)にシフトするという流れとなります。また、間合いで阪奈特急1往復にも「ひのとり」が投入されます。

特急関係については、早朝時間帯に名張発名古屋行き(名張5:41発)を新設。同区間の急行を置き換えるものと思われます。また、夕方時間帯の大阪上本町・大阪難波発伊勢方面特急の運行区間が短縮されます。

奈良線~阪神直通(奈良~神戸三宮間)快速急行が土休日、全区間において8両運転が実施され、ホーム有効長の関係上、阪神芦屋駅は通過となります(6両編成運用列車は従来通り停車)。運転時間帯も拡大され、近鉄・阪神相互乗り入れは成功していると言えます。

大阪線では、平日早朝時間帯に急行が増発される一方、快速急行は減便。大阪上本町6:00発五十鈴川行き急行は、同駅6:14発大和八木行きに変更(短縮)。代わりに、平日、大阪上本町5:37発伊勢中川行き急行が新設されます。

生駒線は、2017年台風21号災害に伴う徐行運転を終了、朝夕時間帯の列車本数を毎時4本に増強されます。

近鉄・阪神と同時に山陽電車、および阪急神戸線のダイヤも変更されます。

https://www.kintetsu.co.jp/all_news/news_info/daiyahennko.pdf



近鉄河内長野駅ホームには、今では貴重となったフィルムタイプの字幕回転式発車標が残っています。

かつて昭和の頃は、京阪・阪神・南海などでも見られたかと思いますが、近鉄の発車標(行先案内表示機)もカラーLED化が進み、現役の字幕回転式タイプも河内長野駅が最後となりました。 本年1月30日に新型機種に更新されます。これに合わせ、記念台紙付き入場券の販売、および特別ポスターが掲示される予定です。

河内長野駅に到着する列車は、「準急|大阪阿部野橋」行きがほとんどであり、幕の回転シーンはなかなか見られないようですね(すなわち、終日ほぼ固定表示化)。

https://www.kintetsu.co.jp/kanko/kanko_info/news_info/kawachi-nagano_20200106.pdf



過去に実践したことのある私鉄の面白い旅について書いてみました。

「スルッとKANSAI 3Dayチケット」(廃止)を使った、滋賀から富田林までノーラッチ(途中、改札を通らないこと)の旅です。今から15年ほど前のことでした。

京阪石山坂本線の京阪膳所駅から出発です。

石山坂本線は確か、スルッとKANSAIカードが未対応だったはずだが、 「3Dayチケット」のみ、呈示で利用可能でした。第一ランナーは坂本(→坂本比叡山口)行きの電車で浜大津まで。

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京阪膳所駅 JR琵琶湖線乗り換え

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石山坂本線で活躍する600系

浜大津で京津線~京都市営地下鉄東西線の京都市役所前行きに乗り換え。800系の4両編成で、先頭車はセミクロスシートなので、小旅行気分が味わえます。終点まで10数kmほどの短い区間において、併用軌道から山岳鉄道、そして地下鉄線と変化に富む路線で面白いです。第三ライナーは、東西線二条行き(当時は二条が終点だった。どこで乗り換えのかは失念)で烏丸御池まで。

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京津線用800系が休む四宮車庫

烏丸御池で、地下鉄烏丸線に乗り換えて、一気に洛南の竹田へ抜けます。近鉄京都線直通(新田辺行き)だったか、竹田折り返しだったかは忘れました。もしかしたら、大久保あたりで急行に乗り換えたかわかりません。大和西大寺を経て橿原神宮前まで乗ったことだけは確かです。

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橿原神宮前駅 南大阪・吉野線ホームより
左側の引込み線にいる30000系ビスタカーは特急|京都行きに
橿原線と南大阪・吉野線は線路軌間が異なるため、直通運転はできない


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南大阪線と長野線との要衝・古市では増解結作業が頻繁に見られる

橿原神宮前で南大阪線に乗り換え。恐らく大阪阿部野橋行き急行だったと記憶しています。そして、古市で最終ランナー・河内長野行きに乗り換え、次の貴志で下車。改札機を無事にパスしました(「3Dayチケット」だから当たり前か?)。

滋賀・京都・奈良・大阪4府県を回り、所要時間は4~5時間ぐらいだったと思います。

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富田林市といえば、コレ!


阪神電車のダイヤ改正が2020年3月14日 (土)に実施されます。

改正の主な内容は、

◎土休日のほぼ全時間帯で阪神本線の快速急行を8両編成で運転
 ●神戸三宮~近鉄奈良間の運転時間短縮

◎朝・夕時間帯に快速急行の増発、運転区間延長


です。

阪神本線神戸市内区間連続高架化工事完成に伴い、芦屋駅を除く快速急行停車駅が8両対応になったため、阪神本線内でも快速急行の8両運転が可能になります。

一つ気になるのは、芦屋駅での取り扱い。ドアカットするのか、通過扱いにするのかはプレスリリースに明記されていません。詳細は1月下旬に発表の予定です。

https://www.hanshin.co.jp/company/press/detail/2763



新幹線型配線という言葉を聞いたこともあるかと思います。それは、「複線路線の相対式ホームで、通過列車用の本線と停車列車用の副本線があり、追い抜き可能な駅」=「相対式2面4線を備え、内側は通過線」。すなわち、新幹線の途中駅に多く見られることから、「新幹線型配線」と呼ばれることもあります。

在来線や私鉄での新幹線型配線は、日本ではどちらかといえばあまり数は多くないように思います。

関西私鉄・JRでの「新幹線型配線」駅として、

(阪急神戸線)六甲
(近鉄奈良線)瓢箪山
(近鉄南大阪線)今川、河内天美
(近鉄名古屋線)楠
(JR阪和線)上野芝


が挙げられるが、やはり数は少ないですね。なぜか近鉄南大阪線に新幹線型配線の駅が2つも存在するとは、びっくりです。

「新幹線型配線」もどきと言えるものとしては、

(阪急京都線)富田

があります。阪急富田駅は、相対式2面2線のホームの間に、上り(京都方面行き)用通過線1本の合計2面3線という特殊な配線形態となっており、ぱっと見た目には新幹線型配線と言えます。なぜ、このような珍しい配線になったのかといえば、高槻市駅高架化工事に合わせて京都方面行きホームに仮待避線として設置されたため。高槻市駅立体化完成後も、富田駅はそのままの配線です。

過去に新幹線型配線だった駅に、

(近鉄京都線)小倉

があります。小倉駅は1980年代初期まで新幹線型配線でした。しかし、隣に向島駅が開業、島式2面ホームで待避線機能が設けられたため、小倉駅での新幹線型配線は廃止され、待避線無しの典型的な相対式ホームとなっています。


新幹線型配線と類似のものとして、方向別複々線の線路で外側線のみにホームのある駅が挙げられます。関西では、京阪本線の複々線区間(天満橋-寝屋川信号所)で「準急以上の種別が通過する」駅が該当し、大阪方から順に

野江、関目、森小路、千林、滝井、土居、西三荘、門真市、古川橋、大和田

109駅です。準急停車駅の京橋・守口市・萱島では、島式2面ホームで、緩急連絡が可能な構造となっています。

同じく方向別複々線のJR東海道・山陽本線では、快速通過駅も含めて、島式2面ホームであり、新幹線型もどきの駅は見られません。


近鉄京都線にモ1650形がいた頃について、レポートしたいと思います。

モ1650形は、1959~66年に製造された名古屋線1600系(4ドア通勤車)の増結用Mc車。総数9両でした。

このうち、4両(モ1651~1654)が1982年、京都線用に転属。京都線急行の5連運転のための増結用に使用されました。

近鉄京都線はもともと編成長が短く、1980年代初期まで特急以外は最大4両編成で、急行は3連、普通は2連ということも多かったと記憶しています。しかし、沿線人口の増加により混雑は年々激化、また京都市営地下鉄烏丸線との相互乗り入れ(1988年開始)を控えることから、6両編成への増強工事が順次進められます。

その第一弾として、1982年3月ダイヤ改正では、朝ラッシュ時間帯の京都線急行6両編成運用が新田辺→京都にて開始するも、さっそく問題が発生しました。それは、大久保駅(京都府宇治市)のこと。大久保駅は当時、地上ホームで有効長は4両分だったので、前後各1両をドアカットする形で停車しました(同駅周辺は立体化工事中だった)。しかし、ホーム両端に踏切が設置されているため、ただでさえ渋滞しやすい旧・国道24号線(→京都府道69号)の交点もすぐ傍にあることから、周辺の道路交通に支障をきたすということで、同年6月1日より6両運用は一旦中止。代わりに1両短縮した5両編成で運用されることになります。

そこで、モ1650形に白羽の矢が立ち、京都線に転属。京都・奈良線の仕様に合わせ、連結器高さ変更などの改造を受けました。8000系列など広幅車体の通勤車が主力の京都線や奈良線において、狭幅車体1650形は異彩を放っていました。1650形は、新田辺で4両編成の京都行き急行編成の先頭に増結する形で運用に入っていました。京都駅到着後、1650形は切り離され、単車で待避線に留置ののち、新田辺止まりの列車に増結されて折り返すという、かなり煩雑な運用も存在したようです。

その後、1988年地下鉄烏丸線相互乗り入れ開始までに、京都-新田辺間各駅と、新田辺以南の急行停車駅である高の原駅(のちに新祝園も加わる)のホーム有効長が6両に拡張。1987年大久保駅高架化竣工を機に、京都線急行の6両運転が本格的に開始します(一部の準急・普通も6両運転開始)。

これにより、1650形は余剰気味となるが、その後もしばらく、橿原・天理線普通などで時折運用されていたようです。ただ、あくまで増結用であるため、1650形単独ではなく、8000系列の2~3両ユニットに1650形を1または2両つなげるという組成だったようです。1650形は冷房化工事を受けることもなく、1990年に営業運用から引退。救援車・入換車に転用されます。2016年、その生き残りである1両、1654号が高安工場で「青の交響曲」塗装に塗り替えられ、注目を集めました。

1980年代の京都線のユニークなキャストは、モ1650形のほかに、ステンレス車3000系や、旧型吊り掛け車の「生き残り」である大型更新車920系(→名古屋線1010系)、そして1986年登場の地下鉄烏丸線直通専用車3200系など、バラエティに富んでいましたね。

* * * *

近鉄大久保といえば、旧・ニチイ→サティ→イオンに思い出があるという方も多いでしょう。1979年開店から37年間営業を続けて2016年に閉店ののち、建物も解体されてしまいました。大久保駅高架化前の頃の写真などを見てみたいのですが・・・。新田辺駅も、1980年代前半までは、確か構内踏切があって、「バリアフリー」だったように記憶しています。


東大阪市のイズミヤ若江岩田店(近鉄若江岩田駅付近)が2019年12月下旬をもって閉店すると発表。

イズミヤ若江岩田店は、開業50周年を迎えます。現在の店舗に移転したのは1991年で、店舗の建物自体はまだ新しいほうです。現店舗の建物は地上5階建の豪壮な外観であり、バブル経済末期の総合スーパー・モールの面影を伝えていると言えます。閉店後の業態転換(「カナート」「デイリーカナートイズミヤ」)はなく、完全閉店するとのこと。店舗の跡地活用も未定です。

若江岩田周辺には、イズミヤ現店舗への移転と同時期、近鉄グループの「近鉄ハーツ」が開店しています。「近鉄ハーツ」は現在、ニトリモール東大阪に変わっています。

イズミヤ若江岩田店、2019年12月下旬閉店ー50年の歴史に幕
https://toshoken.com/news/16655



日本最大の私鉄・近鉄電車の駅名は、実に興味深いネタの宝庫です。

今回は、2つの「田辺」についてレポートしたいと思います。

近鉄電車には、「田辺」の付く駅名が2つ存在します。それは、

新田辺(京都線、京都府京田辺市)
北田辺(南大阪線、大阪府大阪市東住吉区)

で、この2つの駅は名前からして近接関係にありそうですが、実は全然離れた場所にあります。ある意味、同じ近鉄駅名ネタで有名な4つの「九条」と事情は似ていますね。両駅間の距離は、近鉄京都・橿原・南大阪線経由で76.4km。しかも、京都線は広軌1435mm、南大阪線は狭軌1067mmゆえ、両駅間を直通する列車は存在しません。

ちなみに、「北田辺」駅周辺には、「田辺」の付く駅名、

田辺(地下鉄谷町線)
南田辺(JR阪和線)
西田辺(地下鉄御堂筋線)

があります。一方、「新田辺」付近には、

京田辺(JR片町線)

があるが、「京田辺」駅は1997年以前は「田辺」駅でした。同じ京田辺市内において、JR片町線の「JR三山木駅」は、元「上田辺」駅でした。

そうそう、大和西大寺や生駒駅などでは、近鉄けいはんな線が地下鉄中央線に直通しているため、4つの「田辺」駅(新田辺、北田辺、田辺、西田辺)への乗車券が購入可能ということになりますね。


近鉄で京都と名古屋を移動するという人はそう多くないでしょう。

そもそも、京都-名古屋間は新幹線で30分であり、近鉄だと遠回りとなって、新幹線より料金は安くても特急を乗り継いで2時間近くになってしまいます。 ただ、京都~津・四日市・桑名間の近鉄特急利用の需要はそれなりにあるものと思われます。

実は一度だけ、名古屋~京都間を近鉄で寄り道したことがあります。1990年代前半、「東北ワイド周遊券」の旅帰りのことでした。

当日の朝、車中泊の急行<津軽>(485系)で上野到着。東京都内から先、「青春18きっぷ」利用で中央本線に寄り道することにしました。東京駅から新宿・八王子・甲府・小淵沢などを経て、岡谷で途中下車。岡谷駅前に止まっている諏訪バスは、なんと京阪バスからの中古車ばかりでびっくり。1980年代前半の主力だった三菱MP117・K-MP118に久しぶりに会えて懐かしい気分に。岡谷からは中央本線旧線経由を回って塩尻を目指します。途中、飯田線との分岐駅である辰野で乗り換えました。辰野まで飯田線直通の119系に乗車したのち、確か123系(荷物電車からの改造)の塩尻行きに乗り換えたものと思います。昼食は岡谷もしくは塩尻駅前のスーパー内の店だったかな。塩尻から先、JR東海管内に入り、残り少なくなった国鉄急行色165系の中津川行きに乗車。ちょうど、名古屋からのルートをどうしようか、頭を悩ませていた頃です。東海道本線(米原)経由は確かに早いが、できれば他の変わった経路にしたい。関西本線経由も良いが、少しありきたりな感じで飽きを感じなくもない。そこで、近鉄に乗ることに決定。

名古屋駅の改札を出て、新たに近鉄の乗車券を買います。近鉄の駅が視界に入ると、久しぶりに大阪に帰った気分でした。さっそく伊勢中川まで5200系急行に乗車。中川で大阪線の名張行き急行に乗り換えます。大阪線名張以東区間運転の急行は朝夕のみの運転で、確か早朝1本だけ名張発名古屋行き急行もあったはず。名張そして大和八木でまた乗り換え。ラストは丹波橋まで京都行き急行でした。せっかく当日有効の「青春18きっぷ」を持っているので、桜井でJR桜井線、鶴橋で大阪環状線に乗り換えることも可能だったが、長旅で疲れていることもあって、丹波橋から京阪で帰ることにしました。


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中央線(4号線)に集約された20系。
写真の2936Fをはじめ30番台編成は谷町線から24系とトレードで転入しました。
近い将来、20系は新型車両(40000系?)に置き換えられるようです。
 


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近鉄の少数派形式の一つ、8800系。
900系・8000系以来続いた最後の奈良線用丸屋根大型通勤車で、1980年に4連×2本のみ製造。

1980年前後は、近鉄通勤車における歴史のターニングポイントでした。
南大阪線ラビットカー6800系に始まる大型丸屋根車(4ドア20m車)は、奈良線用8800系がラストで、その後は角張ったスタイルの1400系・8810系・6600系などにモデルチェンジ。この過渡期、1979年に近鉄唯一のステンレス車3000系を4両1編成のみ試作。3000系は京都市営地下鉄烏丸線との相互乗り入れを前提にしたものですが、量産にはならず、その任務は3200系が担うことに(3000系は2012年廃車)。3000系の角張ったスタイルは、以後の近鉄通勤車の新スタイルに通じるものでした。


近鉄大阪線と奈良線の分岐する布施駅。

布施駅は東大阪市西部(旧・布施市)の主要ターミナルでもあり、大阪市との境界と至近距離であることから、近鉄バスのほか大阪シティバスも乗り入れています。

駅は3階立体構造で、大阪線(河内国分・大和八木・名張・伊勢志摩方面)は2階、奈良線(石切・生駒・奈良方面)は3階ホームの発車となっています。1階高架下の駅本屋には近鉄百貨店(東大阪店)などが併設されています。

その布施駅ですが、優等種別である特急・快速急行は基本的に止まりません(急行は停車)。「基本的に」というのは、一部停車する該当列車が存在するためです。面白いことに、一般列車の快速急行は全列車通過でありながら、最上位種別である特急が一部停車します。その該当する特急とは、大阪線の阪伊乙特急(日中のみ)。名阪特急および奈良線(阪奈特急)は全て通過します。快速急行が布施駅を通過するにもかかわらず、特急が止まるというのは、少し妙な感じがします。阪神本線の御影駅が特急停車駅なのに、(近鉄奈良線直通の)快速急行が通過というのも、同様に違和感がありますが、阪神御影の場合は、駅ホームがカーブゆえ20mの近鉄車6両の停車が物理的に不可能という事情によるものです。


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阪神なんば線桜川駅の日常的光景です。
大阪難波駅発着の近鉄車両は、阪神桜川駅まで回送して折り返します。
したがって、阪神直通非対応車の特急車や丸屋根通勤車8000系シリーズ、京都市営地下鉄烏丸線直通用3200・3200系など、あらゆる近鉄車両を見ることができる、阪神線内唯一の駅となっています。

また、阪神桜川駅では南海汐見橋線(汐見橋駅)に乗り換えることも可能です。
 


4つの「九条」は、近鉄の駅名ネタとしてかなり有名です。すなわち、橿原線の「九条」、京都市営地下鉄烏丸線「九条」、大阪メトロ中央線「九条」、阪神なんば線「九条」の4つとも、近鉄の車両が乗り入れており、しかも大和西大寺駅には中央線を除いた3つの「九条」駅に直通する列車が発着している、という話です。2,025年大阪万博までに、近鉄奈良や伊勢志摩・名古屋方面からけいはんな線・中央線に直通可能な特急車両を実用化するとの話もあるが、どうなることでしょうか・・・。

近鉄の駅名について、これと似たようなネタがほかにも存在します。

それは「東山」と「松ヶ崎」。

「東山」については、生駒線の「東山」と京都市営地下鉄東西線の「東山」があります。近鉄京都・奈良・橿原線の駅から、2つの「東山」駅への乗車券を購入することが可能なのです。東西線の「東山」には近鉄の車両が乗り入れているわけではないが、烏丸御池で東西線に乗り換えます。

「松ヶ崎」は、地下鉄烏丸線と近鉄山田線にあります。

「九条」「東山」「松ヶ崎」の3つとも、京都市営地下鉄と近鉄に同じ駅名があるのは興味深いと言えます。
 


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阪神1000系車内客用扉上部に掲示されている停車駅案内パネルです。
山陽姫路から近鉄奈良までの駅名が一枚のパネルに表示されており、
相互乗り入れを通じた広域運用を実感させるものです。

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